2022.10.20

賃貸マンションは防音性が命!?防音性の高い物件の見分け方

暮らしのQ&A

国土が狭く、土地の値段が比較的高い日本。駅周辺や都心などの便利な集合住宅は人気があり、多くの人がその地域にマンションやアパートを借りて住んでいます。集合住宅には限られた土地に多くの世帯が住んでいるため、昔から騒音トラブルが絶えません。

目に見えない「防音性」は重要視されにくい!

集合住宅の隣、上下階の部屋との騒音トラブルは、長年問題となっています。例えば1974年のピアノ騒音事件のように、騒音トラブルが原因となり殺人事件にまで発展したケースも少なくありません。

しかし、当時より建築技術の進歩した現代においても、日本の比較的安価な集合住宅では外観や内装の美しさに重きが置かれ、防音に関してはそれほど配慮されていない物件も多いことは事実です。

現役で仕事をしているビジネスパーソンはもちろん、幼いお子様がおられるご家庭など、全ての人にとって、家は休息をとる重要な場所。騒音トラブルによってリラックスできなかったり、寝ているのに音で起こされてしまったりといったことが続けば、当然その家から引っ越しをしたくなることでしょう。

実際に、「立地が良くて便利だが隣人や外からの騒音がひどいという理由で引っ越しをする人は多く、賃貸の場合はせっかく入居しても半年ほどで退去する人もいるようです。

いくら働き方改革が叫ばれ、労働環境が改善されたとしても、家で十分な休息が取れないのであれば意味がありません。今回は、防音性がしっかりしている賃貸マンション、アパートを見分けるポイントについて見ていきましょう。

防音性が高いのはやはり鉄筋コンクリート…しかし立ちはだかる価格の壁

密度が高い鉄筋コンクリート造の建物のお部屋は、優れた防音性能があります。一方、木造や鉄骨造の物件に比べると建築費用が高くなるため、家賃も割高になりやすいというデメリットがあります。

築古の鉄筋コンクリート造の物件という選択肢もある

鉄筋コンクリート造の建物は、木造や鉄骨造の建物よりも、耐用年数が長く、地震にも比較的強いと言われています。このため、家賃を抑えたい場合は、防音性の高さと安全性がありながら家賃が手頃になっている築が古い鉄筋コンクリート造の物件を選ぶ、という選択肢もあります。

また、築の古いマンション・アパートは、内装が古臭いからちょっと…と感じる方には、古い物件をリノベーションして現代的な内装に変えている物件もおすすめです。リノベーション物件は、立地・間取りが同じレベルの新築・築浅の物件よりも手頃な家賃であることが多いため、家賃を抑えて現代的でスタイリッシュなお部屋に住みたい人に人気となっています。

間取りの工夫で防音性は上げられる

構造が鉄筋コンクリートでなくとも、間取りの工夫をすることで防音性能を上げているマンション・アパートもあります。それは、画像のように居室が隣接する部分に収納スペースやお風呂・トイレなどを配置し、寝室・リビングが壁一枚でくっつかないようにする方法です。

騒音トラブルで多い例が、寝室が隣り合っているために、一方が寝ているにも関わらず隣人が騒いでいたり、テレビを大音量でかけていたりして騒音が伝わってしまう…というケース。

休息する場所の間に収納スペースなどでワンクッションが置かれることで、音がダイレクトに伝わらなくなり、騒音がかなり改善されると言われています。

予算的に鉄筋コンクリートの物件が難しかったり、その他の条件が魅力的で木造の物件に住みたくなったりした場合、間取り図を見て、隣室との境界がどうなっているかを確認してみましょう。

隣同士の防音性に配慮した賃貸物件(木造)を動画で見る



 

防音性がしっかりしている=入居者にもオーナーにもメリットがある

防音性が優れている物件に住み、静かな生活を送ることができるということは、リラックスできる時間が取れ、睡眠不足にもなりにくいと言う点で、部屋の広さや見た目のデザイン性などよりもある意味価値があることかもしれません。

賃貸マンション・アパートのお部屋を探している方は、内装の綺麗さだけにとらわれず、その部屋で静かな暮らしが送れるかどうかを内見時などにしっかりと見ておきましょう。

賃貸物件の防音性が優れていることは、入居者だけではなく、物件のオーナー(大家さん)側にも大きなメリットがあります。それは、防音性を高めることで物件の人気が高まり、定着率が上がることです。特に若い世代ほど、物質的な豊かさよりも生活の質を重視する傾向があるこの時代。静かな休息が約束されている物件はこの先末長く人気を集めることでしょう。

反対に、防音性能の優れず住み心地が良くない物件は退去する人も多く、賃料を下げることでしか人を集められなくなってしまうかもしれません。また、冒頭で触れたような騒音トラブルによる事件に巻き込まれてしまう可能性も上がります。事件の起こってしまった物件は当然敬遠され、空室になりやすくなってしまい、そうなると建物の資産価値にも影響してきます。

このように、防音性の高い賃貸物件は、住み人にも貸す人にもメリットの多い物件。これからは立地や間取り、デザインに加えて「防音性」が重視される時代になっていくことでしょう。