2021.11.03

住宅の構造を徹底比較!構造の名称や種類、特長の基礎知識を知ろう

建てる

「家の構造ってどう選べばいいの?」という方必見!主な住宅構造となる「木造」「鉄骨構造」「鉄筋コンクリート造」の種類や特長を分かりやすく比較していきます。さらに、一戸建て住宅の大きな割合を占める「木造軸組工法」「ツーバイフォー」「鉄骨構造」の基礎知識とメリットデメリットも解説。ぜひお家づくりの参考にしてみてください!

住宅構造は「木造」「鉄骨構造」「鉄筋コンクリート構造」の3種類

住宅の主な構造は、「木造」「鉄骨構造」「鉄筋コンクリート造」の3種類です。それぞれの名称や特長、基礎知識を比較していきます!

住宅の構造その1. 「木造」の基礎知識

木造住宅とは、柱や壁といった主要部材に木材を使用した建築方法の住宅です。日本では古くから木造建築が発展してきた理由として、

・気候が樹木の生長に適合し、良質の木材が確保できる
・生活の場として木造建築が高温多湿な日本の風土に合っていた
・地震国である日本では組石造の構造は敬遠されてきた
・木造建築の技術が発展したこと


などが挙げられます。

木造構造は「在来軸組工法」「ツーバイフォー構法(2×4構法)」の2種類

木造住宅には「在来軸組工法」と「ツーバイフォー構法(2×4構法)」の2種類が存在します。それぞれの特徴を比較していきましょう。

木造住宅の構造「在来軸組工法」の特長

昭和25年に建築基準法が設定されてから一般的に大工や工務店にとって建てられてきた柱、梁、桁などの軸組に、水平面の変形を防ぐため、斜めに掛け渡す筋交い(すじかい)を用いる架構式構造。基礎の上に柱や梁を組み合わせて骨組みをつくり、屋根を張った後に、壁などを取り付けて建築します。

木造住宅の構造「ツーバイフォー構法(2×4構法)」の特長

北米等の在来構法を導入したもので、構造材として小断面(38m×98mm)の通称ツーバイフォー材を基本とした規格断面体系が使われています。日本での正式名称は、「枠組壁工法」と呼ばれ、1階の床をつくり、1階の壁を立ち上げ階の床を造り2階を立ち上げます。1階ずつ立ち上げていくので安全ですが、1日で上棟が終わる在来軸組工法と比較すると、雨の多い気候の日本の風土には、必ずしも合っていないかもしれません。

住宅の構造その2. 「鉄骨構造(S造)」の基礎知識

鉄骨構造は「鉄構造」あるいは「剛構造」と言われます。また、英語の”STEEL(鋼)”の”S”を取って、「S造」、「S構造」とも呼ばれます。建物の主要構造体部分に鉄骨を使用して建築されている住宅を指します。日本では昔ながらの木を使った住宅が根強いですが、最近では鉄を使った頑丈な住まいも人気が出てきています。

「S造」に用いられる鋼材「重量鉄骨」と「軽量鉄骨」

「重量鉄骨」は、鉄骨構造建築物の主体構造を構成します。主には高層ビルやマンションといった中高層以上の建築に用いられることが多いです。戸建て住宅には主に「軽量鉄骨」が使用されます。

住宅の構造その3. 「鉄筋コンクリート構造」の基礎知識

鉄筋コンクリートのことをRC構造といいます。コンクリートの中に鉄筋を入れ、圧縮にも引っ張りにも強い部材を作るのがこの構造の特長です。主には戸建て住宅から中層階のマンションや集合住宅で使われます。

新築戸建ての主流「木造」と「鉄骨構造」を比較!

新築の戸建て住宅を考えられている方は、木造か鉄骨構造が現実的な構造となります。では、一体、木造と鉄骨構造のどちらにすべきなのでしょうか。それぞれのメリットデメリットを解説します。

木造住宅のメリット

鉄骨構造と比較して割とコストが安め

使用する木材の種類などにもよりますが、基本的には鉄骨構造よりも材料費が安くなります。また、工期も比較的に短いので建築コストを抑えられる傾向にあります。

調湿効果があり、季節問わず快適

木材には湿度が高まると湿気を吸い、空気が乾燥すると蓄えていた湿気を空気中に放出する調湿性があります。湿気の多い季節には結露やカビの発生を抑えたり、乾燥する時期でも快適に過ごすことができます。

デザイン性が高い

枠型が決まっている鉄骨造と比較すると、木造はデザインの自由度が高いと言えます。基礎・柱・梁といった土台を構築して強度を持たせれば、その他の空間設計に融通が利き、リフォームやでデザインも想い描いている通りにしやすいのです。

木造住宅のデメリット

シロアリや火災に弱い

木材を基礎の構造に使用しているので、シロアリなどによる害虫被害が生じやすくなってしまいます。シロアリの被害を防ぐために、木材には防蟻処理や被害を受けにくいよう工夫されていますが、定期的に防蟻点検や薬剤を散布するなどの対策が必要になってきます。

また、火災で燃えやすいのも木造のデメリットとなります。しかし、可燃性への対処として石こうボードのような不燃性で被覆したり、薬剤により木材そのものを燃えにくくする工夫が取られていたりします。

老朽化により、耐久性が低くなる

長く住み続けるうえで最大のデメリットとなるのが耐久性の低さです。耐久性を誇る鉄骨構造に比べると、木材でできた木造住宅は風化や腐朽などによって老朽化し、強度が低くなります。木材の老朽化を防ぎ耐久性を維持するには、その管理が大切です。しっかりとメンテナンスを行なうことで、より長く住むことが可能となります。

鉄骨構造のメリット

強度が大きいため、耐震性・耐久性に優れる

強度の高い鉄骨を使うことで、優れた耐震性・耐久性を誇ります。地震大国と言われるほど地震の多い日本では、木造と比較すると丈夫な構造で崩れる可能性が低くなる鉄骨造はかなり魅力的。また、耐火被覆という処理を施せば、木造よりも火災保険をおさえることもできます。

品質が安定している

生きている木材は全く同じものはなく一つひとつ個性があるのが魅力ではありますが、バラつきがあるとも言えます。その反面、工場で大量生産された鉄骨造の材料は一定の品質を保つことができます。組み立てる際にも、住宅会社や職人の技術による品質のブレが生まれにくいのも特徴です。

間取りに自由度がある

構造体の柱や梁といった主要部分が、鉄骨造では強度のある鉄骨になるため、木造に比べて少ない柱や壁で住宅を構成することができます。そのため、人気の吹き抜けリビングや大きな窓など開放的な間取りが実現可能です。

鉄骨構造のデメリット

錆びるので、結露・防錆処理が大事!

鉄骨造はシロアリ被害が少ない半面、鉄が錆びるので防錆処理を必要とします。また、木造と比較すると部材は調湿効果がないので、気密性が高い分、内部に湿度が溜まりやすく結露が起こってしまいます。結露が発生すると錆につながるので、木造よりも断熱対策が必要となります。

木造住宅よりも建築コストがかかりがち

木造住宅と比較すると、鉄骨造は現場での加工が難しく、材料費が高くなる傾向があるため、コストは高くなりやすいです。ライフステージの変化に合わせてリフォームが必要になったときも同様となります。

重量があるため強固な地盤が必要

丈夫で強度のある鉄骨造は重量があるため、土地によっては地盤補強が必要となります。住宅によっては、地盤強度の工事を行わないと建築ができないこともあります。

建築の構造を知って快適な住空間を叶えよう

住宅の構造は、人の安全を確保し、財産を守る大切な役割を持っています。また、構造体自体がインテリアデザインの重要な要素ともなることもあります。長く住み続けられる住まいづくりの参考になれば嬉しいです!