
2021.08.05
樹脂サッシの窓はどれくらい省エネ?夏も冬も嬉しい効果とは
暮らしのQ&A
年々激しさを増す、日本の猛暑。7月、8月には35度以上の「猛暑日」となる地点の数が過去最高を更新し続けています。
さらに令和の時代に入って間もない2019年5月26日、気候上の分類では「亜寒帯」に分類されている北海道の網走地方・佐呂間で最高気温39.5度の北海道新記録が打ち立てられるなど、近年の夏の暑さは常軌を逸していると言っても過言ではありません。
断熱性能の高い樹脂サッシの窓を使うと省エネに!?

エアコンの効きを良くして省エネを実現できると言われている、今話題の「樹脂窓」。窓枠をアルミから樹脂に切り替えるだけで、断熱、遮熱、気密性が上がり、エアコンの効きがよくなると言われています。実際どれほど効果があるのでしょうか。
住宅の中で最も熱の出入りが多い「窓」の断熱を強化する樹脂サッシ

大手アルミ建材メーカーで、樹脂窓の販売を行なっている「YKK AP株式会社」の調査によると、夏場の暑い空気の実に約74%が「窓」から入ってきているという結果になっています。その他は屋根が約6% 、換気が約5%、外壁が約12%、床が約3%となっており、窓の比率の多さが際立っていると言えます。
また、同社の調査によると、冬場は家の中で温めた空気の約52%が窓から逃げてしまうと言われています。
つまり、夏場は7割越えの熱の出入りのある「窓」に断熱対策を行うことで、部屋に入る暖気をかなりシャットアウトして温度上昇を抑えることができるのです。温度上昇が緩やかになることで必然的にエアコンも効きやすくなり、省エネ効果が得られるというわけです。
樹脂窓にすると実際にどれくらい省エネになるのか

樹脂サッシの熱伝導率は、アルミサッシの約1000分の1。つまり、樹脂サッシは外気温を室内に伝えにくくし、室内の涼しさや暖かさを外に逃しにくくします。
一般的な2階建て住宅の窓を、複層ガラスのアルミサッシの窓からYKK AP社の「APW 330」という樹脂サッシの窓に交換すると、年間の冷暖房費がおよそ14,200円節約できると言われています。
(参照元:YKK)
この調査では、1kWh当り27円で調査されているので、kWhに直すと約523kWhの電力を削減することができるようです。東京電力によると、年間の電力使用量に対するCO2排出係数は、0.339であるとされているため、523kWh×0.339=177.297kgとなります。
つまり、窓を樹脂窓に変えるだけで年間で約177kgものCO2を削減できるのです。 メーカーは、この「樹脂窓」のことを、「一度取り付けたら、お金のかからないエアコン」と謳っており、その断熱効果にはかなりの自信を持っているようです。
猛暑が年々激しさを増していく中、樹脂窓の導入はかなり有力な省エネ対策と言えるでしょう。
樹脂窓にすると結露も抑えられる

樹脂窓の恩恵は、猛暑の時期だけにとどまりません。冬の窓ではおなじみの「結露」も、熱が伝わりにく樹脂サッシの窓ではかなり抑えられるのです。結露はカビやダニの発生の原因となってしまう可能性もあり、住む人の健康に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。
夏の暑さを和らげ、冬の寒さを和らげ、さらに結露を防止する樹脂サッシの窓は、「人に優しい窓」だと言えるでしょう。
エアコンに頼る暑さ対策だけでは悪循環に

エアコンを稼働しなければ熱中症によって亡くなるリスクがかなり高くなってしまう近年の猛暑。しかし、エアコンを稼働すればするほど、屋内の温かい空気を屋外へ送ることになり、屋内からの排熱によって外の気温が上昇してしまうという悪循環に陥ってしまいます。(※現に2007年、岡山理科大学の大橋唯太氏によって、東京の下町の気温がエアコンによって華氏2度ほど引き上げられていることが明らかにされています。)
さらに、電気を多く使うことによって、地球温暖化の原因と言われる二酸化炭素の排出量が増えることになり、地球温暖化をさらに加速させてしまうことになりかねません。
アルミ製サッシと比べて割高な価格だが導入するメリットは大きい

樹脂窓を導入する際に、ネックとなるのが価格。諸外国と比べ、日本において樹脂窓の歴史は浅く、アルミサッシと比較するとまだまだ割高な状態が続いています。一般的には、サッシが全て樹脂で出来ている「オール樹脂サッシ」はアルミサッシと比較して約2倍の価格で、家の内側が樹脂で外側がアルミの「アルミ複合樹脂サッシ」でも1.5倍の価格と言われています。
しかし、これからマイホームに長年住み続けることを考えると、この記事で取り上げたような樹脂窓の優れた断熱、遮熱、気密性による恩恵は計り知れません。今、マイホームの窓に樹脂窓を導入する決断をするということは、この先何十年の生活への投資だと言えるのです。