
2022.10.28
マンションの隣人の庭木がはみ出してきた!専用庭のトラブル対処法
暮らしのQ&A
分譲マンションの1階のお部屋にあることが多い専用庭。バルコニーのみの2階以上のお部屋とは異なり、1階の住民は専用庭でガーデニングを楽しんだり、ピクニックやキャンプ気分を味わえたり…といったメリットがあります。
しかし、マンションの専用庭はあくまでもマンション全体の共用スペースで、戸建て住宅の庭のように本格的なガーデニングをしたり、物置などの大型の物を設置したりするのは好ましくありません。ガーデニングを適度に楽しむ場合でも、植えた植物が隣の人の専用庭まで伸びてしまい、トラブルとなってしまうことがあります。
今回は、マンションの専用庭で、隣の人の庭木や作物などがはみ出してきた…。という実際に起こりがちなトラブルの適切な対処法を考えていきましょう。
大事に至る前にやめておこう!隣人の庭に庭木がはみ出すと起こるトラブル

当然のことながら、人間が適切に管理していないと、植物は枯れるまでどこまでも成長します。戸建ての庭と比べて限られたスペースであることの多いマンションの専用庭に花や樹木、野菜などの植物を植える際は、より注意する必要があると言えるでしょう。
庭木などの植物を放置すると発生するトラブルには、次のようなものがあります。
枝や葉などの侵入で隣の庭が狭くなる
例えば、しだれ桜のような大型の樹木をマンションの専用庭に植える場合、樹齢が10年を越える頃には高さ5m程度の大きな木に成長します。また、幅もかなり広くなり、伸ばしっぱなしにしていると枝の端から端までが7mを越えるような大きさになることも。
このような大型の樹木が、隣の専用庭からはみ出してしまうと、隣の人の庭の面積を奪い、迷惑となってしまうことは目に見えています。マンションの専用庭では、大きく成長するタイプの樹木を育てるのはそもそもやめておいた方がよいと言えるでしょう。
日当たりが悪くなる
大きな木が隣家にはみ出し、葉が青々と茂ってしまうと、太陽の位置によっては隣家の専用庭に日差しが全く入らない時間帯ができる可能性があります。そのまま放置すると、隣の人がガーデニングをして育てている植物の成長を妨害したり、洗濯物の乾きを遅くしたり…と、多大な迷惑をかけることになるでしょう。
虫や害虫が発生することも
樹木に虫は付き物。はみ出している植物に虫が付くと、関係のない隣家の専用庭にも虫の害が及びます。隣の部屋の大きな木についていた虫が洗濯物に付着していた…ということになれば、トラブルになるのは目に見えています。
隣人の庭木問題に対してやってはいけないこと
上記のようなトラブルは、マンションの専用庭を利用する人が各自自覚を持って気を付けておけば起こりません。しかし、残念なことに、マンションの住民全員がマナーのある人ではなく、中には庭木などを伸ばし放題、はみ出し放題にしている人もいるというのが現実です。
ここからは、庭木などの植物がはみ出してきた時の注意点や対処法を考えていきましょう。
勝手に枝を切断するのは絶対にダメ!
はみ出してきた庭木に対して、「私の庭に勝手にはみ出して来たのだから、私が切っても文句を言う筋合いはないだろう」と思ってしまうことがあるかもしれません。
しかし、一般的な戸建の庭において、隣家の庭からはみ出した庭木を勝手に切ってしまうと、器物損壊罪(刑法261条 3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料)に当たり、不法行為による損害賠償を請求されてしまうリスクがあります。

民法第233条(竹木の枝の切除及び根の切取り)
1、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
マンションの専用庭においても、他人の所有物である庭木などの植物を勝手に傷つける行為はやめておいたほうが無難です。可能であれば所有者によって切ってもらうか、許可を得てから切るようにしましょう。
枝を無断で切るのは違法だが、根を切るのは違法ではない
この民法では、枝を他人が勝手に切ることは認められていませんが、根を切ることは認められています。例えば、樹木の根が専用庭の仕切りの柵の下から自分の庭にはみ出してきている…と言う場合は、自分の境界線より内側の根を無断で切っても罪にはならないのです。
「枝はNG、根はOK」と覚えておきましょう。
戸建て住宅の庭とマンションの専用庭では対処方法が異なる

前述の通り、マンションの専用庭はマンションの共用部分。1階の住民は専用庭を「所有」しているのではなく、「使用料を払って使っているだけ」ということになります。
これが戸建て住宅の庭同士のトラブルの場合、相手が対処してくれない場合は裁判に持ち込むことが可能ですが、マンションの専用庭でのトラブルではそうした対応が難しくなってくるようです。
このような、マンションの専用庭ならではの悩みにはどのように対処すればよいのでしょうか。
1. まずは問題の植物の所有者に丁寧にお願いする
前述の通り、自分の専用庭にはみ出してきた庭木の「枝」は、勝手に切ってはいけません。そのため、所有者に切ってもらうか、許可を得て切らせてもらうか、の2択になります。
勇気の必要なことになりますが、まずは問題となっている植物の所有者に事情を説明し、何らかの対応をしてもらうようにお願いしましょう。所有者が不在で、なかなか会えないという場合は、「何度か訪問したが不在であった」ことも付け加えながら手紙を入れることもできます。
2. それでもダメならば管理組合に相談する
お隣の方が事情を理解し、謝罪をしてきちんと対応してくれるならば、このトラブルは一件落着となります。しかし、万が一相手が枝などを切ることに難色を示す、あるいは手紙を読んでいるかどうかわからない、と言う状態が長く続き、平行線となっている場合は、マンションの管理組合に問題点として提出することもできます。
マンションの専用庭は、マンションの住民全員の共用部分であり、管理規約に違反する使い方はできないことになっています。
もしお住まいのマンションの管理規約が標準管理規約に沿っている場合、使用細則では「他の専有部分の眺望、日照、通風に影響を及ぼすおそれのある樹木その他の植物の栽培等」は禁止となっているはずなので、問題の植物の所有者に住民としての責任を問うことができます。
ただ、管理組合に通報したことでお隣との関係性が悪くなることが心配になるかもしれません。お隣との目の前のトラブルを避けて泣き寝入りをするのか、将来的なことを考えて管理組合を交えて事を正すのか、どちらが自分達の将来にとってよいかを家族で話し合い、慎重に決定しましょう。
冷静さを失ってはいけない

個人的にお願いに行くにしても、残念ながら管理組合に通報するにしても、冷静さを保って穏便な対応をすることが大切。例え自分に非が全くなく、腹が立つとしても、怒りにまかせた対応は事態を悪化させてしまう可能性が高くなります。
相手によっては庭以外のトラブルに発展する可能性があるため、冷静さを保ってお願いしましょう。
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