
2021.09.01
賃貸住宅のオンライン内見・契約とは?仕組みやメリットを解説
暮らしのQ&A
2020年初頭から始まった新型コロナウイルスの流行。新型コロナウイルスの感染対策のため、人出の多い場所への外出を極力避けておられる方も多いのではないでしょうか。
しかし、従来通りの方法で賃貸住宅を借りて引越しをする場合、不動産会社の店舗に足を運び、対面で物件を紹介してもらい、車に担当者と同乗して物件に一緒に入って案内をしてもらい…と、いわゆる「3密」の状態が多発すると言わざるをえません。
そのような状況の中、感染リスクなしに引っ越しができる方法として大注目されているのが、接客からお部屋の内見、そして契約までを全てオンラインで行うことができる「オンライン接客」です。実際にどのような流れで接客・内見・契約まで進めていくのか、メリットやデメリットはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
オンラインでの接客・内見から契約までの流れ

オンライン接客は、カメラのついたスマートフォン、パソコンなどの端末を使用し、オンラインビデオ会議システムを使って行なわれます。したがって、このような端末をいずれも持っていない場合は購入する必要があります。最近発売されたほとんどのスマートフォンは問題なく対応していますが、10年以上前の古い機種の場合はOSが対応していない可能性があるため注意が必要です。
オンライン接客

不動産サイトを見て気になる物件を見つけたり、住みたいエリアの希望が固まったら、Webサイトの入力フォームやメール、電話などから不動産屋に連絡を取り、オンライン接客を希望していることを伝えます。その際に不動産業者から指定されたビデオ会議アプリをインストールし、指定時刻にビデオ会議にアクセスします。(不動産業者によっては独自のビデオ会議アプリを使用しているなど、ツールが違う可能性があります。)
この際、スマートフォンのインターネット回線を使用することもできますが、電波状態や通信量のことを考えると、Wi-Fi環境で行なった方が安心です。その後はビデオ会議システムを使って、画面越しに担当者と会話して、エリアや家賃などの希望を言葉で伝え、物件情報を見せてもらいます。
接客をスキップすることもできる
すでに狙っている物件が決まっていたり、不動産業者から電話やメールで紹介してもらった物件をすぐに見たいという場合は、この接客のステップをスキップし、オンライン内見へと進むことも可能。すぐにオンライン内見へと進みたい場合は、最初に不動産業者にコンタクトを取る際、その旨を伝えておきましょう。
オンライン内見

オンラインでの接客を経て、あるいは直接の申し込みをしてから、指定の時刻にビデオ会議システムにアクセスします。指定の時刻に実際の部屋に待機しているスタッフが物件の中を映し、スマートフォンやパソコンの画面越しに部屋の中の様子を見ることができます。案内をしているスタッフに質問などもリアルタイムでできるため、対面して案内を受けている時と同じように、気になる部分や確認しておきたい部分を見せてもらうことができます。
部屋の内装の様子だけではなく、冷蔵庫や洗濯機の置き場の採寸をしてもらったり、採光や部屋からの景色を見せてもらうこともできるでしょう。実物を見ることができない分、利用する際はチェックしておきたい箇所をメモしておくと安心です。
オンライン+郵送でそのまま契約可能!

オンライン内見を経て、気に入った物件が見つかったら、そのまま契約までの手続きもオンラインと郵送で行えるオンライン接客。つまり、一度もお店に足を運ばずに、新居の鍵を受け取ることができるのです。
重要事項説明もオンラインで!
賃貸物件を契約する前に必ず受ける必要がある「重要事項説明」。2015年ごろから国土交通省によって、オンラインで重要事項説明を行なって問題がないかどうかがテストされた結果、2017年10月から「インターネットを経由した映像と音声による重要事項説明」が認められました。
手順はオンライン内見と同じで、指定した時間にビデオ会議システムにアクセスをして、説明を受けることができます。説明の際は、担当者が「宅地建物取引士証」を画面越しに提示します。
書類や鍵は郵送されてくる
オンライン重説を経て合意(契約)に至った場合、契約書などの書類や鍵は郵送で送ってもらうこともできます。感染症が心配な今の時期に限らず、仕事が忙しくなかなかお店に足を運ぶことができないという人にとってはとても便利だと言えるでしょう。
オンライン接客のメリット

オンライン接客の最大のメリットは、実際に店舗に足を運ぶ手間が省けること。特に、遠方への引越しをする際には、物件の内見を直に行う場合は新幹線や飛行機を使って引越し先に赴く必要もあり、経済的な負担が増えることになります。引越しの荷物の運搬や、新しい物件の初期費用などにまとまった金額がかかることを考えると、無料で物件の内見を行えることは大きなメリットと言えるでしょう。
また、昨今のコロナ禍の状況で、公共交通機関を利用した県またぎの移動はリスクが高い行為に該当するため、スマートフォンやパソコンの画面越しではあるものの、部屋の内部の情報を得られるのもメリットです。
オンライン接客のデメリット

オンライン接客のデメリットは、住む前に物件の中に入ることができないという点です。画面越しに部屋の様子を確認することができたとしても、実際に部屋の中に入って広さを把握することができたいため、「映像では広く見えたけれど、実際に住んでみるとそうでもなかった」というミスマッチが起こってしまうかもしれません。
また、映像では床材などの肌触りなどを体感することができないため、実際に触れて体感したい場合は内見だけでも足を運んでおいた方が良いでしょう。
5Gの普及でより発達する可能性大!

昨年、iPhoneシリーズが対応したことで話題になっている、新しい通信システム「5G」。2021年の段階では、まだまだエリアが狭いという課題がありますが、5Gの大容量・低遅延・多接続を利用すればより高画質でよりリアルに近いオンライン内見が可能となることでしょう。
また、VRゴーグルを使い、実際にそこに入ったような感覚を味わえる「VR内見」も、5Gの普及によって広まることが期待されています。携帯電話や家電が「スマート化」した2010年代。2020年代は家探しもどんどんスマート化していくことでしょう。