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広島市内から「市内」へ行くという広島の街あるある表現について

広島以外の土地から広島市に引っ越してきた人や、広島市の中心部から広島市の郊外に移り住む人が、地元の人と会話する中で時々遭遇するかもしれない表現に、「市内へ行ってくる」という表現があります。使い方は、「今日は休みだから市内に買い物に行ってくる」と言った具合です。この表現は、違う自治体に住む人が広島市に行く、という意味ではありません。広島市内に住む人も日常的に使っているのです。自分の家も広島「市内」であるにも関わらず、「市内」へ買い物に行く、という会話が交わされているのです。


広島人の「市内」の定義とは

それでは、広島市民は、具体的にどの部分を「市内」と呼んでいるのでしょうか。住んでいる地域や年齢などによっても、その定義は変わってくるようです。ここで取り上げるのは、あくまでも一例と考えてください。


1. 1970年代の編入以前の旧市内を指す説


1970年代に、周辺の自治体の大規模な編入を経験した広島市。現在の広島市安佐北区(あさきたく)や安佐南区(あさみなみく)、安芸区(あきく)、佐伯区(さえきく)という広大なエリアが、この時新たに広島市に仲間入りしました。この時代を生きた人の間では、「市内」とは1970年代以前から広島市であった中区、東区(温品・馬木・福田は含まない)、西区、南区を指しているのではないか、という説があります。


2. 中区の紙屋町・八丁堀・本通りなどを指す説


しかし、例えば旧市内の西区に住んでいる人の間でも、「市内に行く」という言葉は使われています旧市内に住んでいる人たちの間でいう「市内」とは、中区の紙屋町(かみやちょう)、八丁堀(はっちょうぼり)、本通り(ほんどおり)などの、広島の中心地一帯を指すようです。また、1970年代の編入の歴史を知らない世代で、旧市内以外の郊外地域に住んでいる人の間でもこちらの意味で「市内」と言っている人が多いようです。この定義において興味深いのは、広島の中心駅で中四国地方最大の駅とも言える広島駅は、「市内」には含まれない点です。広島の街は中央駅と中心街が離れている特殊な街なのです。


「市内に行く」方向は中心部方面のみ


広島人の言う「市内」の定義について、2つの説を取り上げましたが、そのどちらの説でも共通した事柄があります。それは、「市内に行く」方向は、広島市の中心部方面に向かう場合のみに使われると言うことです。例えば、広島市の中心部である八丁堀を出発して、わずかに北の幟町(のぼりちょう)や白島(はくしま)に行く時、「市内に行く」とは言いません。


しかし、反対に安佐南区などの郊外地域から幟町や白島に行く際には、「市内に行ってくる」と言う人がいる可能性があるのです。つまり、広島人が使う「市内に行く」と言う表現は、外側から中心部に向かう場合のみに使われると言えます。


近年は「街に行く」と表現する人が多い

広島市の周辺地域の大規模な編入が行われてから半世紀が経過しようとしている現代。根強く残っていた「市内へ行く」と言う表現を使う人もやや減っているかもしれません。若い世代の多くが使っているのは「街へ行く」と言う表現です。この場合は、シンプルに広島市の中心部の繁華街一帯に行くと言う意味のようです。


市内に行かなくなった広島市民も多い


かつて、広島市付近に住む人が繰り出す先として、強い求心力を誇っていた「市内」。しかし、中国新聞が行なった、「広島市付近で最も利用する繁華街」と言うアンケートで、2017年と2018年に、広島市内ではない「安芸郡府中町(あきぐんふちゅうちょう)」が、まさかの2連覇を達成したのです。その原動力となったのは、大型ショッピングモールの「イオンモール広島府中」。かつては市内に行かなければ目にすることがなかったセレクトショップやブランドショップがテナントを構えるショッピングモールの出現により、市内に行かなくなった広島市民が増えているのです。


「市内に行く」は広島の無形文化遺産?

日本の他の地域では見られないであろう「市内へ行く」と言う独自の表現。広島人の心に根付いた文化が失われていくのは寂しい事だと言えるでしょう。しかし先代からこの言葉を受け継いで、現代でも使い続けている若者がいることも事実です。このように文化が継承されていけば、今後も「市内へ行く」広島市民を見ることができるかもしれません。


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