
2024.04.12
衣食住のすぐそばに!生活の充実度が高まる本屋「READAN DEAT」
広島の街
広島市中区、広島電鉄本川町電停を降りて、徒歩1分。原爆ドームのほど近くのビルの一角にある、「READAN DEAT」。書物と器を中心に、オーナーがこだわりを持ってセレクトされた品が並ぶお店です。月1で変わるギャラリーも併設されており、いつ訪れても、新たな出会いがきっとある、通いたくなる本と器のお店をご紹介します。
広島の中心部にある独立系書店「READAN DEAT」

ビルの階段を上がってすぐ、暖かなオレンジ色の灯りが溢れるドアを開けると、まず出迎えてくれるのはたくさんのフライヤー。近隣のお店のチラシやイベントのチラシなど心くすぐるチラシが所狭しと置かれています。中に足を進めると、デザイン、住宅、アートなどの本をはじめとする書籍。さらにはリトルプレス、絵本といった幅広いジャンルの書籍がびっしり並ぶ本のエリアが続きます。
さらに奥へ進むと、器が並ぶスペース。その横には、およそ月1で展示内容が変わるというギャラリースペースやポップアップを行うスペースが設けられています。原爆ドームの程近くということもあり、地元の方から、広島に観光に訪れた方まで様々な人が集うお店です。
棚の上から下までゆったりと眺めて出会うお気に入りの1冊

2014年の6月にオープンしたお店。今回はREADAN DEATのオーナーである清政(せいまさ)さんにお話を伺いました。お店をオープンされる前は、地元広島を離れ、東京 で働かれていた清政さん。当時からアートやデザインには興味があり、独立系書店も好きで、清政さん自身もよく利用されていたそう。当時広島にはそういったお店がなかったことがREADAN DEATをオープンするきっかけになったといいます。
一般的な新刊に加えて、写真集、リトルプレスと呼ばれる個人で作っているものや、一般流通していない書籍など幅広い商品を取り扱っているのが独立系書店の特徴だそう。
「当時、広島パルコの中にリブロという本屋さんが入っており、そのお店が好きだったんです。そのお店が閉店すると聞き、文化的な場所が広島からなくなることが勿体無いなと感じたこともお店を始めるきっかけの一つになりました。」
そう話してくれた清政さん。そんな背景もあり、開店当初から書籍のセレクトや企画を通じて広島に新しい文化を発信し続けられています。

こだわりの店づくり
「それまで本屋で働いたことがなかったんです。」そう話してくれた清政さんは、READAN DEATを開くと決めた後の準備期間に、当時住んでいた東京で2年間、大型書店と独立系書店の2店舗で同時に勤務されていた過去もあるんだとか。そんな経験の中で、特徴的だったのは独立系書店のお店で、毎晩トークイベントを開催していたこと。「著者を招いたり、編集者さんを呼んだりしたトークイベントを毎晩やっていたりしたんです。」その刺激的な経緯から、READAN DEATでもトークイベントを不定期で行っているのだそうです。
そんな時代に培った書店としての経験と、センス。そこに、昔から好きだったアートブックを掛け合わせて、清政さん独自のセレクトで1点1点丁寧に選ばれた本なので、どれを読もうか決めるまでにもかなり時間がかかってしまいそうです。


リトルプレス、一般流通していない書物にご注目

開店当時、お客さんは学生さんが多いのだろうと思って、始められたそうですが、開店から約10年経つ今、学生さんはもちろんお客さま自体の層も様々なんだとか。さらには、観光で市内に訪れたお客様が来店されることも多いそうで、「リトルプレス、一般流通していない本を紹介したいという思いで始めたので、できるだけ、取り扱うようにしています。」という清政さんのお言葉通り、個性的なラインナップのお店だからこそ、それぞれのお客さまに合った本を提供できる懐の広さがあるのでしょう。
本と、器のお店です。

店名であるREADAN DEATは、「READ」と「EAT」を掛け合わせた造語になっています。「READ」はもちろん本。そして「EAT」を司っているのが、本と一緒に扱っている 器。
「器も元々好きだったので、開店当時から本と器を扱うお店として始めました。どちらも日常に必要なもので、奥深いなと思います。」本を読む人と、器を読む人は、意外と接点がないけれど、ジャンルが違う人たちが1つの場所にとても自然に集まることができる。だからこそ、2つのジャンルが交わる文化の交流の地点になっているともいえそうです。
実際に、お店の企画には、絵本の原画展があれば、器の展示会もあったり、両者が良いバランスで1つの店舗に混在しています。そういった視点からも、新たな出会いを発信しているお店なのです。
器の話

「本が並ぶエリアと、器が並ぶエリアはそれぞれを見てもらいたいという思いから、はっきりと分けています。」そう話してくれた通り、入り口付近は、本。奥側に器とそれぞれの世界を楽しめるお店づくりにも注目です。
器は常時5,6人の作家さんの商品を扱っているんだそう。こちらも清政さん自身で一つ一つセレクトされており、だからこそなのか、作り手が違う作品で、個性が光っているけれど、同じ食卓に並ぶとうまく調和するような空気感もありギフトで送っても喜ばれそうです。
また、READAN DEATで取り扱う作家さんの作品を実際に、清政さんディレクションのもと撮影を行って出版されたアートブックもあるそう。まさに、本と器、READとEATが交わったアートブックにも注目してみてください。


初めて来た方に注目してもらいたいところ

おすすめの1冊を伺ったところ、広島の編み物作家さんが、一生物というキーワードを使い、「あなたの一生ものとはなんですか?」と伺って回ったものをまとめた「わたしの一生もの」という本をお勧めしてくれました。清政さん自身も制作に関わられたそうで、店舗に足を運んだ際には、ぜひ、手に取ってみてください。
「新刊コーナーももちろんみていただきたいところではあります。セレクトは偏っていますが、新鮮な本との出会いがあると思います」とのことです。


月1で変わるギャラリースペース

「写真集の刊行記念展や絵本の原画展などギャラリースペースの展示内容は月1で何かしら企画が変わっています」と清政さん。本屋だからこそ、新刊が出たら行くという方も多いかもしれませんが、ギャラリーが変わるごとに足を運ぶという楽しみ方もできそうです。
気になる方は、インスタグラムなど更新を要チェックです ちょうど取材に伺った時は、奈良の福祉施設GoodJob!Centerの皆様が作られた商品のポップアップが行われていました。器や、原画、だけでなく、毎月様々な展示が行われているそうです。
新しい出会いが欲しくなったら、ここに行こう。
本屋さんとして新しい本と出会えるということはもちろん、新しい文化や今まで触れてこなかったジャンルとも出会える良い機会になるかもしれません。開店当初、文化的な場所を残したいという思いから始められたお店はその目的の通り、広島でどっしりと長く、軽やかに幅広く文化を発信し続ける場所となっています。
月替わりの展示を見に、ギフトを選びぶために、目的はなくともふらっと訪れるときっといい出会いがあるそんなお店です。
「今後は、アートブックにももっと力を入れたいので、徐々に海外の仕入れ先からも取り寄せ、セレクトの幅を広げていっています。」とのことで、これからもっと、広島ではなかなか出会えない本に出会える場になっていきそうです。
READAN DEATの店舗情報
店名:READAN DEAT
住所:〒730-0802 広島県広島市中区本川町2-6-10 和田ビル203
営業時間:11:00-18:00
定休日:火曜日
アクセス:広島電鉄 本川町電停 徒歩1分
TEL:082-961-4545
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