2019.02.05
人口減と向き合う。35年後、マンションをヴィンテージ化するには
暮らしのQ&A
近年、ニュースなどで時折触れられるようになった「人口減少問題」。
日本では2011年から、死亡する人が出生する人の数を上回り、人口が減る状態になったと言われています。
およそ30年前から叫ばれ始めた少子高齢化が深刻化した状態であると言える「人口減」。
実はこれからあなたが購入する新築マンションに深く関係してくるのです。
なぜ人口減がマンションと関係があるのか
「人口減」と「新築マンション」。一見どこに関係があるのかわからないかもしれません。
その関係とはズバリ、「資産価値」です。
総務省統計局によると、平成30年現在1億2642万人と言われる日本の人口。しかし、国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、このままのペースで人口減が進んだ場合、2050年にはなんと1億人を切って9700万人になると予測されているのです。
人口が減るとなぜマンションの資産価値に影響が出るのでしょうか。
それは現在建っている、そして今後建設されるマンションが、ある時点を境に超絶な供給過多状態になると言われているからです。
100万人分の住居が毎年不要となる時代が来る
人口が減るということは、当然マンションに住む人が減るということになります。
そして中古のマンションを買いたい人も減ってしまいます。現在都市部を中心に雨後の筍のように増えているタワーマンションの明かりも、人が住んでいなければまばらになってしまうことでしょう。
2011年に始まった人口減は、現時点では比較的緩やかで、ニュースでもそこまで頻繁に取り上げられることはありません。
しかし、現時点での予測で、2030年代には毎年100万人ほど人口が減るようになると言われているのです。
100万人という規模はどれほどのものか想像できますか?
現在、人口100万人前後の都市はさいたま市、広島市、仙台市、北九州市などがあります。
毎年、この規模の大都市が、住人を失って廃墟となっていくのです。
このような状況は、世界でも例を見ない異常事態だと言われています。
今年(2019年)に、35年ローンを組んでマンションを購入する場合、ローンを払い終わるのは2054年。
ちょうど人口が毎年100万人減少している恐怖の時代です。
ライフステージの変化に伴い、そのマンションを売りに出そうと考えても、人気のないマンションには買い手が付かず、二束三文で売りに出すことになるかもしれません。
マンションを「買える」人も減ってしまうかも…
現在、ローンを組んでまで持ち家を買うことを決断している多くは、経済的に余裕が出てくる30代〜40代が中心です。
この記事の冒頭でも書いたように、日本の人口減は少子高齢化が原因です。
つまり、35年後にマンションを買う人は恐らく現在生まれている「少子化世代」でしょう。
国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、2050年の30代〜40代の人口は、現在の30代〜40代の6割程度です。
つまり、4割の部屋が不要となってしまい、入居者を争奪するような状況が待っているのです。
そんな時代の中で、マンションの資産価値を極力落とさないようにするにはどうすればよいのでしょうか。
マンションを「ヴィンテージ化」して資産価値の下落を食い止める!
一般的に、マンションの資産価値は新築時をピークに下がり続けます。
しかし、魅力的なマンションは中古であっても人気が高く、新築時と同レベルもしくは更に価値が上がるという現象が起こっています。
近年、このようなマンションは「ヴィンテージマンション」と呼ばれています。その代表格が、東京都渋谷区にある「広尾ガーデンヒルズ」で、築30年のマンションが部屋によっては110平米が2億円以上で売りに出され、1000戸以上部屋があるにも関わらず空き部屋がほとんど出ないことで話題となっています。
これほどの人気を呼ぶことに成功すれば、たとえ人口が大幅に減少したとしても資産価値の大幅下落を食い止めることができるかもしれません。
ここから、このようなヴィンテージマンションに共通する人気を呼ぶポイントを見ていきましょう。
立地と周辺環境
近くに駅やバス停などがあり、通勤・通学に便利なマンションは当然人気となります。
また、便利な場所にありながら、さほど騒々しくない環境も好まれるようです。
先に取り上げた「広尾ガーデンヒルズ」は、敷地内にふんだんに緑が植えられ、都心近くにありながら安らかな住空間を演出しています。
スーパーやシッピングモール、銀行や郵便局など、生活上で必須のインフラが近隣にあることも重要なポイントです。
堅実な修繕計画よる行き届いた管理
マンションは管理が命と言われています。
築年数の古いマンションでも、堅実な修繕計画によって適切に修繕されたマンションはいつまで経っても美しく、住む人にとって安心感・信頼感を生んでくれることでしょう。
また、管理の行き届いている様子は、良好なコミュニティを演出するため、これから中古を買って入居するという人にとって良いアピールとなります。
セキュリティ、コンシェルジュなどが充実
現在人気となっているヴィンテージマンションでは、早い段階から24時間の警備体制やコンシェルジュが導入されています。
行き届いたサービスが生み出す価値は時代を経ても変わることがありません。
タワーマンションなど、近年の高級マンションでは当たり前となっているこれらのサービス。
これから住むマンションが35年後に魅力的であるためには必須条件ではないでしょうか。
時代を超越する美しいデザイン
その時代の流行のスタイルを取り入れたデザインよりも、その物件にしかないような個性的なデザインや、時代を経ても古臭くならない普遍的なデザインのマンションが支持される傾向にあるようです。
優れた外観・内観は、時を経てもアートとしての付加価値があるため、人気を呼ぶことでしょう。
良いものは時を経ても良いもの
ここまで、人口減を生き残るためのマンションのヴィンテージ化について考えましたが、それは住宅にとどまらず、日用品全てに当てはまることではないでしょうか。
管理の行き届いた美しいデザインの逸品は、たとえ中古であっても多くの買い手がつきます。
人生最大の買い物の一つかもしれない「マンション」でも、その原則はきっと当てはまるでしょう。