2022.12.19
住宅ローンが払えない!?楽観視できない3つの不安要素とは
建てる
人生で一番大きな買い物と言える「家」。一億総中流時代と言われた昭和の時代は、ほとんどのサラリーマンが若いうちにローンを組み、マイホームを手に入れていたと言われています。しかし、格差拡大が叫ばれ、かつての一億総中流が崩れたと言われる現代では、このような古き良き時代の常識は通用しなくなっているようです。
今回は、このような現代において住宅ローンを組む際の3つの注意点をまとめました。
結婚後にマイホームを持つのが「当たり前」の時代は終わりつつある
昭和の時代を生きてきた親世代や祖父母世代から、「結婚して落ち着いたら、マイホームを持たなきゃね!」と笑顔で勧められたことはありませんか?
親世代・祖父母世代が生きてきた昭和から平成初期にかけては、経済が右肩上がりで終身雇用制や高額な退職金が保証されていた時代。このため、結婚後にマイホームを購入する人が多数派であり、当たり前の時代でした。
しかし、バブル経済崩壊後の「失われた20年」と呼ばれる現代、残念ながらその常識は通用しません。給与が上がり続けることや、高額な退職金をもらえる保証は無くなってきており、現在は月々の住宅ローンを支払うことが可能であっても、将来的にローンが払えなくなってしまう危険性は十分にあるのです。
1. 給与が右肩上がりに上がるとは限らない
もしあなたが経営の安定した会社で働き、ローンを組んでマイホームを購入するに十分な状況にあるとしても、自己資金が全くないままローンを組んだり、現在の収入のギリギリで資金計画を立てたりすることはお勧めできません。なぜならば、人生何が起こるかわからないからです。
日本の大半の企業では近年、いわゆる「年功序列制」の賃金体系が見直され、今の収入が右肩上がりに増え続けるとは限りません。
多くの人にとって年金でローン返済をするのは厳しい
また、年金の支給年齢が段階的に引き上げられるという噂をご存じの方は多いでしょう。実際、2022年の4月から、年金を受け取り始める年齢の上限が「70歳」から「75歳」に引き上げられ、これは支給開始年齢の引き上げにつながるのではないかと言われています。
仮に2022年現在の支給年齢のまま、同じ水準で年金が支給されたとしても、年金から住宅ローンを支払うのは苦しい場合もあります。現在、国民年金の平均受給月額は平均5.6万円、厚生年金は平均14.4万円(参考:ライフドット)。
合計しても20万円程度(※平均値。現役時の給与や厚生年金の加入期間によって変わる)のため、現役で働いている時代と比較すると収入が減ってしまう可能性もあります。
しかし、このように収入が激減するような窮地に陥ったとしても、ローンは変わらず続いていきます。社会問題化している「老後破産」に陥らないためにも、余裕のある手堅い資金計画が重要です。
2. 退職金は減ってしまう可能性がある
仮にあなたが今30歳前後で、およそ30年後に受け取るはずの退職金でローン完済を目指している場合、より慎重であるべきです。その理由は、退職金の額は未来の景気状況によって大きく左右される可能性があるということです。
厚生労働省の「労働条件総合調査」によれば、勤続年数35年以上で定年退職した人の退職金平均は、平成20年に2,529万円でしたが、平成30年には2,156万円とたったの10年間で実に400万円近く減っています。
お勤めの企業の規模や業績が、30年後にどうなっているかわかりません。もちろん、退職金が増えるケースも十分に考えられます。しかし、退職金を当てにしたギリギリの返済計画は危険であることを覚えておきましょう。
3. 子どもの教育資金も考慮に入れる
一般的に35年で組む方が多いローン。35年後に変わるのは、景気や給与だけではありません。多くの方は「子育て」という大きな変化を経験するでしょう。ローンを組む際は、子育てによってかかる教育資金も考慮して計画しなければなりません。
我が子に十分な教育を受けさせたいと考えるのなら、子どもの教育費は妥協できない点の一つです。大学などへ進むことになったら「奨学金」をもらえばよい、と考える場合もあるかもしれません。
しかしここで注意しなければいけないことは、「貸与型奨学金」を借りる場合です。貸与型奨学金は、子どもが学校を卒業後に働いて奨学金を返済するというものですが、その連帯保証人は大抵の場合「親」です。
もし子どもが退職や失業をするなどのトラブルに見舞われ、奨学金の返済ができない状況になると、奨学金を代わりに返済する必要が出てくる可能性もあります。高等学校の授業料無償化や給付型奨学金の新設など、近年行政も交えて話題となっている子どもの教育費。
景気回復により若者の失業率は改善していると言われていますが、ほんの10年ほど前の不景気の際には、貸与型奨学金を払うことができず、踏み倒す若者が多く社会問題化していました。これから生まれる子どもが社会へ出る時の経済状況を見通すことは不可能ですが、ある程度の備えをしておく必要があるでしょう。
家を買うときは自己資金をできるだけためてから、無理のない返済計画を
ここまで、ローンを考える際の注意点を書きました。これらの注意点を考慮しながら計画を立てる必要がありますが、自分一人では判断がつきにくいものです。
住宅ローンを組む際には、「できるだけ自己資金を貯めておく」、「無理のない計画を立てる」、そして「自分でよく調べて考える」ことが重要になってきます。親や業者などからのアドバイスはもちろん重要ですが、自分で考えて納得することは最も重要です。なぜならば、長年にわたりローンを返済するのは自分自身だからです。
オールハウスでは家づくりのご相談はもちろん、住宅ローンのご相談も専門家が承っております。住宅ローンでお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。