
2023.01.26
2023年は住宅ローン金利が上がる?これからローンを組むなら固定と変動どちらがいい?
建てる
2022年12月20日に日本銀行(日銀)が発表した金融緩和政策の方針変更を受け、住宅ローンの金利を心配している方も多くなってきています。2023年の住宅ローン金利は、どのように変化するのでしょうか。
今回は、次の内容を説明していきます。
● 金利が上がるといわれている理由
● 固定と変動どちらの金利タイプを選択すればいいのか
● 変動金利が上昇したときの対策
これから住宅ローンを組む方は、最後まで目を通してみてください。
2023年に金利が上がるといわれている理由

ニュースやSNSなどで「2023年は住宅ローンの金利が上昇する」といわれていますが、なぜなのでしょうか。まずは、金利が上がるといわれている理由を説明していきます。
長期金利の変動幅が引き上げられたから
2023年に住宅ローンの金利が上がるといわれている理由は、2022年12月20日に行われた金融政策決定会合で、日銀が「長期金利の変動幅を±0.25%から±0.5%に引き上げする」と発表したからです。
金利の変動上限が0.5%になったということは、これまでよりも0.25%分上限が高くなったということ。つまり事実上の利上げです。これにより、住宅ローンの金利が上がると話題になったのです。
変動金利はしばらく低金利が続くと予想される
長期金利の変動幅拡大を受け、InstagramやTwitterなどのSNSでは「変動金利の人はマズイ」「固定金利に借り換えたほうがいいのでは?」など、さまざまな憶測が飛び交いました。
しかし、今回の引き上げで影響を受けるのは長期金利のみなので、変動金利はこれまで通り、しばらく低金利が続くと予想されます。変動金利には影響がない理由は、固定金利と変動金利で金利を決める基準が異なるからです。
● 固定金利:新発10年国債利回り(国債市場で取引される10年国債の利回り)
● 変動金利:短期プライムレート(1年以内の短期貸出の金利)
変動金利は短期プライムレート(短プラ)によって決まり、日銀の「マイナス金利政策」によって低金利が保たれています。
政策はインフレ率2%に加えて賃金が上昇するまで続くといわれているため、賃金上昇の見込みが立たない現時点(2023年1月)に上昇するとは考えにくい状況です。とはいえ、固定金利が上昇している今、変動金利の上昇を心配する方も多いでしょう。 これから住宅ローンを組む方は、固定と変動のどちらを選べばいいのでしょうか。
これからローンを組むのなら固定・変動どちらにすべき?

結論からいうと、「固定と変動の絶対にどちらがいい」とは断言できません。金利の動向は天気予報のように、誰も正確に予測できるものではないからです。 そのため、家族のマネープランや価値観から金利タイプを選ぶことが大切です。
安定を重視する方は固定金利
「マネープラン・ライフプランをしっかりと考えておきたい」
「金利上昇のリスクを負いたくない」
と考える方には、固定金利が適しています。
固定金利を選択しておけば、固定期間中は金利変動の影響を受けないからです 特に「フラット35」のような全期間固定金利を選択すれば、ローンの完済まで金利が変動しないので、ローン完済までのマネープランを考えやすくなります。
ただし固定金利はすでに上昇傾向にあるため、金利が上昇した分、返済負担が大きくなる点に注意が必要です。 実際に2023年1月には、固定金利を前月から0.4%も引き上げた金融機関もあります。金利はたった0.1%でも総返済額に大きな差が出るため、この数字を軽くみてはいけません。
金利差がどのくらい返済額に影響するのか、簡単にシミュレーションしてみましょう。
借入条件
● 借入額:3,500万円
● 借入期間:35年
● 返済方法:元利均等
※変動金利は完済まで変動がないものとする

月々の返済は約2万円、総返済額には約830万円もの差が出ました。シミュレーションでは変動金利に変動がないものとして計算していますが、返済額の差は歴然です。シミュレーション結果からも、金利タイプで悩んでいる方は、「月2万円の差額を払って金利上昇のリスクヘッジをするのか」という点がポイントとなります。固定金利を希望する方は、金利や団信プラン、特典などを比較検討しながら、借り入れする金融機関を慎重に検討しましょう。
金利を重視する方は変動金利
「低金利で借り入れたい」
「低金利のうちに元金を減らしておきたい」
と考える方には、変動金利が適しています。低金利で借り入れれば、月々の返済負担が軽くなることはもちろん、元本の減りも早くなるからです。特に返済方法で「元利均等返済」を選択した場合、借り入れ後10年のうちに利息総額の約半分を返済するため、金利の低さが元本の減りの早さを左右します。
しかし低金利が10年間続くとは限らず、いつ金利が上昇するのかは正確に予測できません。 変動金利を利用する方は、マネープランを立てづらいというデメリットがある点も頭に入れておきましょう。
ポイント!
● 元利均等返済:月々の返済額が一定になる返済方法
● 元金均等返済:月々の返済額のうち、「元金部分」が一定になる返済方法
変動金利の方が考えておきたい金利上昇時の対策

金利が低い変動金利を利用すれば、元本を早く減らせることがメリットですが、心配なのが「金利上昇時にどうすればいいのか」という点ではないでしょうか。 ここでは、金利上昇時の対策を2つ説明していきます。
利息差額分を貯蓄または運用しておく
金利上昇によって返済負担が大きくなったとき、収入で賄えればいいのですが、難しいときには貯蓄から不足分を補うことになります。返済を滞りなく行うためにも、変動金利を選択する方は、金利上昇に備えて資金を用意しておくことが大切です。
前項の金利差によるシミュレーションでは、月々の返済に約2万円の差が出るとお伝えしました。変動金利を選択する方は、この2万円を返済したものだと考えて貯蓄、または「つみたてNISA」などで運用することをおすすめします。
仮に、月2万円を貯蓄、またはつみたてNISAに回したと考えてみましょう。

月2万円の貯蓄、運用でも10〜20年続ければ、大きな金額になります。もし金利上昇によって返済負担が増えたとしても、これだけの資金があればしばらく不足分を補填できるでしょう。
もし完済までに金利が上昇しなければ、資金は老後資金やリフォーム費用などに回すこともできます。変動金利を選択する方は、貯蓄や資産運用をして金利上昇に備えておきましょう。
繰り上げ返済を視野に入れておく
金利上昇時に繰り上げ返済をすれば、借り入れ時の返済額を維持することができます。返済額を維持するためには、どのくらいの金額を返済すればいいのでしょうか。
簡単にシミュレーションしてみましょう。
借り入れ条件
● 借入額:3,500万円
● 借入期間:35年
● 返済方法:元利均等
● 借り入れ金利:0.5%
● 月々の返済額:9万円

表を見てわかるように、返済の残り期間が短くなれば、その分繰り上げ返済すべき金額も少なくなります。上記の金額を一つの目安として考え、金利上昇にしっかりと備えておきましょう。
返済期間やライフプランに合わせた選択を

2023年は、長期金利の変動幅引き上げによって固定金利が上昇していますが、変動金利はしばらく低金利が続くと予想されます。しかし、変動金利の低金利が完済時期まで続くとは限りません。
これから住宅ローンを組む方は、固定金利と変動金利、それぞれのメリットやリスクを把握したうえで、金利タイプを選ぶことが大切です。
オールハウスでは、お客さまのマネープランや価値観にぴったりの住宅ローンをご提案いたします。住宅ローンでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。