
リノベーションにおけるスケルトンって何?マンションならどこまで変えられるのか
ここ5年ほどで、中古マンションを安く購入し、リノベーションして住む、という流れが、若い世代を中心に一般化しつつあります。リノベーションについて調べていると、「スケルトンリフォーム」や「スケルトンリノベーション」という言葉に出会う方も多いことでしょう。「スケルトン」なリフォーム・リノベーションとは一体どのような意味で、どのようなことができるのでしょうか。
目次[非表示]
- 1.スケルトンとは
- 1.1.通常のリノベーションとの違い
- 2.スケルトンで変えられること
- 2.1.間取り
- 2.1.1.LDKへの間取り変更が人気
- 2.1.2.壁式構造のマンションは要注意
- 2.2.配管・配線
- 2.3.段差
- 3.スケルトンでも変えられないこと
- 3.1.共用部分
- 3.2.マンション全体の構造
- 4.まとめ
スケルトンとは
スケルトンには骨格や骨組みという意味があります(骸骨という意味もある)。中古マンションの骨格とは、建築構造を支える構造躯体のことです。鉄筋コンクリート造のマンションの個室をスケルトン・リノベーションする場合、既存の鉄骨やコンクリート、柱や梁を残して、取り除くことのできる室内の壁や配管、配線などをすべて作り変える大規模な工事になります。
通常のリノベーションとの違い
中古の物件を大規模に作り変え、新たな価値を加える改修のことをリノベーションと言います。リノベーションという言葉の範囲は広く、間取りを作り変えるレベルまでは行かない改修もリノベーションと呼ぶことができます。つまり、建物を一度骨組みの状態にして、間取りを大規模に変更することを意味するスケルトンリフォーム・リノベーションは、リノベーションという広い言葉の枠に含まれる手段の一つです。
また、スケルトンリフォーム・リノベーションと聞いて、部屋の中全てをスケルトンの状態にすることを想像する方もいるかもしれませんが、そうとも限りません。例えば、部屋の半分程度は今の間取りを残しつつ、残りの間取りを変更するだけでも、スケルトンリフォームやスケルトンリノベーションと呼ばれます。つまり、間取りを改修するリノベーションでは、もれなくスケルトンリフォーム・リノベーションも行なっているということになるのです
スケルトンで変えられること
間取り
スケルトンリフォーム・リノベーションで変えられる最大の要素と言えるのが、間取りです。骨組みだけを残し、基本的に室内の壁全てを取り除くことが可能になるので、一から間取りを作り直すことができます。
最近では、リビング・ダイニングをリノベーション前の倍ほどある広さにしたり、バス・トイレ周りを残して極力間仕切りや壁を取り除いた開放的な間取りにしたりするなど、スケルトンだからこそできる大胆な間取りに中古マンションをリノベーションする人が増えています。
LDKへの間取り変更が人気
部屋中の壁を無くすような大胆な間取り変更はしないにしても、一般的に多く見られるスケルトンのリノベーションには、「3DK」を「2LDK」にリノベーション、というように個室を一つ減らして「LDK」を作るものが多く見られます。家族や友人たちを呼び、広い空間でゆったりとくつろげるLDKの需要はここ30年ほどで急激に増加しました。リノベーションした家を将来的に売却することを考えても、LDKのある部屋の方が高く売ることができると言われています。
壁式構造のマンションは要注意
スケルトンリノベーションしようと考えて中古マンションを購入したものの、構造が「壁式構造」で、思うようなリノベーションができない、ということがあります。壁式構造とは、壁、床、天井をコンクリートの「面」で作り、建物を支える構造のことで、低層マンションで多く見られる構造です。
構造躯体が柱や梁だけの「ラーメン構造」と呼ばれるマンションは、部屋の壁を取り除くことが容易ですが、壁式構造の場合は間取りの変更がかなり限られます。中古のマンションを購入して比較的大規模なスケルトンのリノベーションを考える際には、その構造をよく確認してから購入を決めましょう。
配管・配線
構造躯体を除き全てを作り変えるスケルトンリフォーム・リノベーションでは、既存の配管や配線も作り変えることが可能です。例えば、キッチンやバス・トイレの位置を既存の場所とは違う場所に変えるなどの大規模なリノベーションが可能になるのです。同じマンション内でも、他の部屋とは全く違う間取りに作り変えることができ、オンリーワンの部屋を作ることができます。
ただし、マンション内での水回りの移動は簡単なものではなく、排水管とダクトの位置に制限がある場合が多いため、リノベーション後の安全面などに問題がないか業者と綿密に打ち合わせを行いましょう。
段差
足が不自由な人やお年寄りにとって、玄関や部屋の境目に段差があることは命に関わる大問題と言えます。スケルトンリフォーム・リノベーションでは、部屋を一度骨組みだけの状態にするため、このような段差を作らない、あるいは極力少なくするリノベーションが可能になります。自分たちが長く住む場合にも、将来的に売却する場合にも、段差がない、あるいは少ないバリアフリーのお部屋にリノベーションすることには大きなメリットがあると言えるでしょう。
スケルトンでも変えられないこと
共用部分
中古マンションの部屋の間取りを大規模に変更したり、床の段差を無くしたりできるスケルトンリフォーム・リノベーションですが、マンションの一室である以上、自分の専有部分以外をリノベーションすることはできません。具体的にはどのような部分を変えることができないのでしょうか。
バルコニー
自分の部屋のバルコニーは、平常時には自由に使っても良い専用部分ですが、あくまでもマンション全体の共用部分です。自分が所有する専有部分ではありません。火災などで避難が必要となった場合には避難経路として使われるため、住民が独断でリノベーションすることはできません。
窓サッシ
意外かもしれませんが、部屋のすべての窓サッシも共用部分。スケルトンで部屋中を骨組みだけにしても、窓サッシを変更することはできません。せっかく大規模なリノベーションを行うのだから、アルミ製のサッシを樹脂製に変えて断熱性をアップしたいところではありますが、それは原則不可能だと覚えておきましょう。
玄関ドア
窓サッシと同様、玄関ドアも共用部分。室内のドアは自由に変更できますが、玄関ドアだけは特別で、勝手に変更してはいけないことを覚えておきましょう。
マンション全体の構造
例えば、中古戸建てをスケルトンリフォーム・リノベーションする場合は、骨組みだけにすることで、必要な耐震補強などが明らかになり、家の性能や安全性を自由にアップすることができます。しかし、マンションの一室の場合はそうはいきません。自分の部屋だけ耐震補強を行なったとしても、マンション全体の構造が危険な状態であれば、巨大地震の際には危険な事に変わりはないからです。
まとめ
マンションの一室を骨組みだけにするスケルトンリフォーム・リノベーション。ある程度の制限はあるものの、間取りや水回りを自由に変えられることがお分りいただけたでしょうか。しかし自由度が高い反面、失敗のリスクも高まってしまう可能性があります。自信がない場合はリノベーションを行う業者の担当者のアドバイスを聞くなどして慎重に行いましょう。