
2019.08.05
火を使わないはずなのに発火事故?IHクッキングヒーターの注意点
暮らしのQ&A
近年、従来のガスコンロに変わり、オール電化住宅などで急速に普及しているIHクッキングヒーター。
ガスコンロとは異なり、火を使わないため、火災の危険性が低いと言われています。
注文住宅で家を立てる際にIHクッキングヒーターを指定したり、賃貸で家を借りる際も、IHクッキンヒーターの物件を選んだりする人も多いと言われています。
しかし、IHクッキングヒーターそのものが直接的な原因ではないものの、やはり火災事故とは無縁ではないようです。
ここでは、IHクッキングヒーターをどのように使ったら火災の危険性があるか、実際に起こった事例をもとに考えていきましょう。
揚げ物の調理中に火災が起こった事例が多い

IHクッキングヒーターは、ヒーターそのものから火を出すことはありませんが、熱エネルギーを出すものであることには変わりありません。
そのため、油を使う揚げ物を調理している際に、油から発火する事故が起こっているようです。どのような状況で発火事故が起こっているのでしょうか。
IH調理器非対応の鍋を使っている
鍋の売り場の商品説明欄に、「IH対応」と書かれている鍋と、そうでない鍋があるのを見たことがある方も多いことでしょう。
IHクッキングヒーターは、オールメタル対応の一部の機種を除いて、鉄かステンレスの鍋でないと使用することができません。また、鍋底が平らでヒーターに密着するものでないといけません。「IH対応」と謳っている鍋は、この条件を満たしているということです。
オールメタル非対応のIHクッキングヒーターで、銅やアルミのような他の金属で作られた鍋を使うと、加熱効率が悪いため、ヒーターの故障や事故の原因となってしまう可能性があります。
そして、鍋底が平らではない鍋を使うと、ヒーターの光センサーが正常に動作せず、温度調整がきかないため、異常な速さで加熱されて、油などが発火してしまうことがあるのです。
当然のことですが、使っているIHクッキングヒーターに対応している鍋を使い、正しい方法で料理をすることで、発火事故を防ぐことができます。
ヒーターのモードを間違える
ほとんどのIHクッキングヒーターには、料理で作るものに合わせたモードがあらかじめ設定されています。
大抵の機種に、油を使う揚げ物を安全に調理できるよう、「揚げ物モード」があります。
この揚げ物専用のモードをうっかり設定せず、高出力で油を加熱してしまうと、発火・火災のリスクが上がってしまいます。
油の量が少ない
IHクッキングヒーターの説明書には、揚げ物をする際には最低で200gの油を使用するように、と注意書きが書かれているようです。
これは、油が少ない状態であることをIHクッキングヒーターが感知せず、油が多い状態と勘違いしてパワフルに加熱してしまうと、油の温度が急上昇して発火・火災になる可能性があるためです。
目を離してしまった
揚げ物をしている時、目を離したり、その場から離れてしまったりすると火災になりやすい、というのは、誰もが知っていることではないでしょうか。
しかし、火を使わず、安全であるというイメージの強いIHゆえ、安全性を過信してその場を離れたがために、火災事故となることがあるようです。
スイッチが入っていることに気づかない
炎の出ないIHクッキングヒーターは、ガスコンロと比べてスイッチが入っているかどうかわかりにくいという特徴があります。
もちろん、ランプの点灯など、ちゃんと注意していれば見落とすことは少ないかもしれません。
しかし、IHクッキングヒーターの上にカセットコンロを置き、カセットコンロを点火させようとしていた時、下のIHクッキングヒーターの電源が入っていたためにカセットボンベが破裂、周囲の物品が破損するという事故が起こっています。
炎の出ないIHクッキングヒーターによって、カセットボンベが加熱されていたのです。一歩間違えば火災や大怪我のもとになったであろう恐ろしい事故です。
使う人が危険なことをすればやはり危ない

火が出ないIHクッキングヒーターは、確かに安全なものです。
火の出るガスコンロでは、子どもの衣服に火が燃え移るなどの事故が起こっていましたが、IHではそのような事故は起こらないでしょう。
しかし、熱エネルギーを生むものであることは変わらないため、油の少ない状態で急速に加熱すると発火をし、ガスボンベを温めると破裂させてしまいます。
安全性を過信せず、あくまでもヒーターであることを認識し、コンロと変わらないものとして扱いましょう。



