
2019.06.17
公道とは違う私道とは。私道の特色と注意点を解説
暮らしのQ&A
街角を歩いていて、「ここから私道」と書いてある標識を見たことはありませんか?
普段、その道路が「公道」であるか「私道」であるかを気にしながら生活している人は少ないでしょう。
しかし、公道と区別するためにわざわざ明記してあることの多い私道。公道と私道ではどのような違いがあるのでしょうか。
公道、私道の区別

公道と私道は管理者が誰であるかによって呼び方が決定されます。
国、地方公共団体などの公共機関が管理する道路が公道と呼ばれ、個人や民間企業が管理しているのが私道と呼ばれています。
ここで注目すべき点が、その道路の所有者が誰であるかによって呼び方が決定されるのではない、という点。
例えば、個人や民間企業が所有している土地にある道路でも、管理しているのが公共機関であればそこは公道と呼ばれます。
固定資産税がかかる私道
個人や民間企業が管理する(大半の場合所有もしている)私道には、固定資産税がかかります。
しかし、一定の条件を満たし、「公共の用に供する道路」に認定されると、非課税になる可能性があります。
どのような指導が非課税になる可能性があるのでしょうか。
通り抜け私道

通り抜け私道とは、両端が公道に接している私道のことを指します。
幅員が1.8m以上あることと、不特定多数の人が利用制限なしで利用しているという条件を満たせば、非課税となります。
コの字型私道、行き止まり私道

両端が公道に接している私道でも、図のように道が「コ」の字になっているコの字型私道や、道の一端のみが公道に接している行き止まり私道の場合は、幅員が4m以上あり、2軒以上の家屋に利用され、不特定多数の人が利用制限なしで利用しているという条件を満たせば、非課税となります。
セットバック部分

幅員4mに満たない公道に面した土地のセットバック部分で、公道と一体となって道路の機能を果たしていると認められる部分は非課税になる可能性があります。
以上のような私道は、私道でありながら固定資産税が非課税となる場合があります。
しかし、自治体によって基準が異なる場合があるため、私道を管理しているという方は事前に自治体に確認しましょう。
私道の修繕費は自腹

私道が何らかの原因で劣化・破損してしまった場合は、その私道を管理している個人や企業が自己負担で修繕する必要があります。
公共機関が修繕してくれることはないため、私道を利用している人は管理者が修繕してくれるのを待つしかありません。
しかし、私道を管理・所有している人の側からすれば、多少劣化や破損があっても「管理責任があるのは自分だが、使っているのは自分だけではないし、そのままでも大丈夫だろう。文句があるなら自分が金を払え」と思う人も少なからずいるようで、私道を利用する住民と頻繁にトラブルになっています。
私道の修繕を訴えたい場合は、トラブルを避けるために公共機関に問い合わせた方が良いかもしれません。
このようなトラブルの防止や、市民の安全を確保するため、私道であっても補修費用の9割を市が負担してくれるという自治体もあるようです。
自分の所有する私道が位置指定道路に設定されたら要注意
自分が所有し、管理している道・私道。不特定多数の人が利用している場合でも、舗装を自分好みに変えたり、幅を変えたりするのは、私有地であれば本来所有者の思い通りにできるはずです。
しかし、私道に面した土地に家が建ち、自分の持っている私道がその家の建築基準法上の「接道義務」にともなう「位置指定道路」に設定される可能性があります。
私道がこの位置指定道路に定められてしまったら、むやみに変更や廃止ができなくなってしまいます。
このため、たとえ私有地であっても私道を廃止して家や別の設備に変更するなどと言ったことができなくなってしまうのです。
私道の範囲や幅などを変更したい場合は、自治体に申請すると同時に、私道に接している全ての土地・建物の所有者の同意が必要になります。
私有地に私道を建設すると土地や建物の資産価値が上がることも

ここまで、私道と公道の違いや、私道の固定資産税など、様々な注意点をまとめてきましたが、私有地に私道を建設すると、自分が所有している土地や建物の資産価値が上がることが期待できます。
特に、公道が遠くにしかなく、建物の近くまで道がないような場所では、私道を作ることで車でのアクセスが便利になったり、土地を駐車場として活用できたりなどのメリットもたくさんあるのです。
固定資産税や接道義務などの注意点を把握しながら、私有地に私道を作ってみるのも良いのではないでしょうか。