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法定相続人のいない人の財産はどうなる?

近年、問題となっている、身寄りが誰もいない方が一人で亡くなってしまうケース。配偶者や子どもはおろか、甥や姪も存在しないという方は全くいないわけではありません。両親や叔父、叔母などが生存している場合もありますが、身寄りのいない人が高齢だった場合、それらの人々も既に亡くなっているケースがあります。


このような、法定相続人のいない方が亡くなった際、誰がその財産を相続するのでしょうか。亡くなった方が賃貸住宅ではなく持ち家に住んでいた場合、その土地や建物はどのようになるのでしょうか。


相続財産管理人が選定され、相続人探しが始まる


相続の権利を持つ家族が誰もいない場合、家庭裁判所から「相続財産管理人」が選定されます。この相続財産管理人は、通常は地域の弁護士から選ばれるようです。相続財産管理人は、まず相続人や相続債権者を探します。法定相続人が本当に存在しないのか確認をして、相続人に向けて、名乗り出るよう公告を行います。


相続財産管理人が探しても相続人が見つからなかった場合、亡くなった方と生前特別に縁故が深かった人である「特別縁故者」に名乗り出てもらいます。この特別縁故者には、親族ではあるものの相続権のない人や、内縁の妻や夫が該当することが多いようです。しかし、特別縁故者は、名乗り出れば100%相続が保証されるわけではありません。裁判所が、その名乗り出た特別縁故者に遺産を分けるかどうか決定するためです。


この段階で、裁判所が特別縁故者に「遺産を相続させない決定、あるいは部分的に遺産を分ける決定」をした場合、遺産のすべてあるいは残りの部分は、最終的に国庫に帰属することになります。


相続財産管理人は、法定相続人のいない不動産を換価して国庫に帰属させる…が上手くいかないことがある


相続財産管理人は、法定相続人のいない土地や建物を売却することによって、換価金を国庫に帰属させます。しかし、土地の買い手が現れない場合、国庫に帰属させることはできません。また、換価されないまま放置された不動産は、その土地を買うという方以外は手を出すことはできません。そのため、放置された不動産が空き家となってしまい、近年日本の社会問題となっている「空き家問題」の原因の一部になっているのです。


遺言を残しておくことで、このような事態は防げる可能性あり


法定相続人がいない、あるいはいるかどうかわからない方は、自分がいなくなった後の不動産をどのようにするか、遺言を残しておくことができます。親族ではなくても、お世話になった方など、遺産を分け与えたい方に遺産を渡すことができます。


また、お世話になった方が相続税を支払わなければならない可能性が出てくるなど、迷惑をかけたくないという場合は地方公共団体やNPO法人に不動産を寄付することにしておくこともできるでしょう。元気で意識がはっきりしているうちに遺言を残しておきましょう。


空き家問題が深刻化する今、より状況は深刻に

2013年の時点で、日本には空き家が820万戸あると言われています。ここで取り上げたような「法定相続人が本当にいない方」が亡くなった結果、その家が空き家になるというケースもありますが、不要な不動産を相続したくない相続人が「相続放棄」を行った結果空き家になる場合も多いようです。


買い手のつかないような、価値の低い不動産を個人が相続して、建物の管理や解体、固定資産税の納付などを行うのは、収入の高くない方には痛すぎる負担。世帯別所得の最頻値が年収200万円〜300万円となっている現代の日本人にとっては高いハードルであることは明らかです。相続放棄を選ぶ人が多くても仕方がないと言えるでしょう。