2020.01.09

不動産の法人化で相続対策!法人化を検討すべき理由を解説

暮らしのQ&A

個人で賃貸マンションや賃貸アパートを所有し、家賃収入を得ている不動産オーナー。個人事業主として不動産経営をしていると、事業が順調であればあるほど様々な種類の財産が個人の資産として蓄えられることとなります。その場合、不動産オーナーの身に万が一のことが起こった際、相続人が多額の相続税を納めることになる可能性があります。

基礎控除額は「3,000万円+法定相続人の数×600万円」なので、仮に、被相続人の財産が、資産価値が5,000万円の賃貸マンションのみだったとしても、法定相続人が3人以内だと相続税がかかってしまうという計算になります。これに預貯金や株式などの他の資産が加わると、相続税を納める対象となる確率はますます上がってしまいます。

相続人となる配偶者や子どもや孫などに、そのような重荷を負わせたくない場合、不動産賃貸業を「法人化」することによって、相続税対策を行うことができるのです。具体的に、どのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット

法人には相続税がない

相続税は、「個人の財産」を相続するときに支払う義務がある税金です。したがって、会社の社長が万が一の事態になった際にも、次に社長となる子どもや親戚が、故人が残した「会社の財産」の相続税を支払う必要はありません。

役員報酬には贈与税がかからない

被相続人となる個人が、一年間に110万円を超える額の贈与を行うと相手が家族であっても贈与税がかかってしまいます。また、生前贈与の非課税枠にも限度があるため、資産があまりにも高額な場合、家族に資産を引き継がせることはかなり困難と言えるでしょう。

しかし、不動産経営を法人化すれば、相続人となる予定の家族を役員として据え、役員報酬を支払うという形で資産の移行を贈与税をかけずに行うことができるのです。通常、親から子に対して贈与を行う場合とは異なり、正当な業務を行なっている子に報酬を支払うことに対しては、贈与税という概念が存在しません。役員報酬によって減少するのは個人の相続財産ではなく、あくまでも会社の財産なので、相続財産を合法的に減少させることができます。

退職金支払いにすると所得税も節税

不動産賃貸業を個人で行っている場合、家族が退職するという概念がないため、家族に対して退職金を支払うことはできません。しかし、法人化することで従業員(家族)が退職する際に退職金を支払うことができるようになります。役員報酬と同様、贈与税がかからないばかりか、退職所得は10種類の所得の中でも所得税が優遇されている所得。つまり、贈与税だけではなく所得税の節税も可能なのです。

抑えておきたいポイント

物件を法人が所有するようにしておく

不動産賃貸業を法人化したとしても、物件の名義が個人の名義になっている場合、土地建物が相続の対象となる可能性があります。

また、個人所有の場合、家賃収入も個人に入ってくるため、家賃収入を貯蓄したままにしているとそれにも相続税がかかります。物件を法人所有に切り替え、家賃収入を法人の収入として扱い、役員報酬とすることで、このようなリスクを回避することができるのです。

被相続人となる人は株式を所有しない

株式にも相続税がかかってしまうため、法人を株式会社にする場合は、被相続人となる人が株式を所有するのではなく、相続人となる人が株式を所有するように注意する必要があります。

相続人を従業員ではなく役員にしておく

相続人の立場が従業員であった場合、労働時間の拘束が発生します。役員であれば労働時間の拘束の必要がないので、ストレスなく財産の移転が行えるのです。相続人全員を役員にしておけば、全員に平等に財産を分けることも可能です。

消費税対策として資本金は1,000万円未満にしておく

通常、消費税は、法人の年間の課税売上高が1,000万円を超えた段階で納付しなければなりません。また、法人を設立してから最初の2年間は、課税売上高が1,000万円を超えていても免税されます。

しかし、資本金を1,000万円以上にしてしまうと、利益の多い少ないに関係なく、設立1年目から消費税を納付しなければならなくなってしまうのです。

デメリット

相続税や贈与税の節税にはなるものの、法人化にはデメリットも伴います。

コストがかかる

法人化すると、個人事業主の頃とは異なり会計処理が複雑化します。そのため、専門的な知識がある人がいる場合を除いて、複雑な会計を社長である被相続人や被相続人が理解して行えるようになるのは時間も手間もかかってしまいます。家族内の誰も自力で会計処理を行うことができない場合、会計を行ってくれる従業員を雇用したり、アウトソーシングしたりすることになり、コストがかかってしまいます。

また、そもそも法人化を行う際に費用がかかってしまいます。その額は会社の種類によっても異なりますが、一般的に15万円から30万円程度が必要になると言われています(司法書士への報酬も含む)。

さらに、仮に法人の経営が赤字になっても地方税などの税が最低で7万円かかり、そこに確定申告の費用や税理士などの専門家の顧問料もかかっていきます。

利益が少ないと赤字になってしまう可能性

上記のように、法人化にはコストがかかるため、一定の利益がなければ赤字となってしまう可能性があります。

どの程度の利益があれば黒字となるかは、それぞれの企業の状況によって異なるため、一概に断言することはできません。

法人化によって相続税や贈与税を節税した場合と、個人事業主として相続税や贈与税を納付した場合と、どちらが結果的にメリットとなるのか、じっくりと考える必要があります。

詳しくは相続のプロに相談

事業の法人化による相続対策には、確かにメリットがあると言えるものの、その方法が全ての不動産オーナーに最適であるとは言えません。

ご自分の所有する資産や、事業の状況などから、何が最適であるかを導き出すのは、経験のない人にとっては至難の業です。

必要であれば、不動産相続のプロフェッショナルに相談をし、最もリスクの少ない方法を選びましょう。

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