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リノベーションする物件の築年数について知っておきたい3つのポイントとは?

マイホームの選択肢として、中古戸建住宅やマンションを購入してリノベーションして住むと言う方法が検討されることも多くなった現在。中古の住宅は一般的に築30年以上になるとかなり価格が手ごろになると言われ、戸建住宅の場合は土地の相場価格かそれ以下の値段で買えることもあるようです。


しかし、30年を超える築年数の建物をリノベーションする際、特に木造の物件だと建物の耐久性に不安を感じると言う方も多いのではないでしょうか。今回は、築年数の古い物件を探す際に押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.知っておきたい3つのポイント
    1. 1.1.「木造住宅の寿命=30年」ではない!
    2. 1.2.建物の寿命は建物の状態や住まい方によって大きく変動する
    3. 1.3.特に1981年以前に建てられた家は耐震補強工事が必要な可能性がある
  2. 2.築年数よりも状態を見て判断すべき


知っておきたい3つのポイント

「木造住宅の寿命=30年」ではない!

築49年の木造軸組工法の戸建て住宅をリノベーションした例 元々の部分を生かしながら美しくリノベーションされている


中古住宅の建物価格の判断材料としてよく用いられるのが、「耐用年数」。この耐用年数は、木造の戸建て住宅は22年、鉄筋コンクリートの共同住宅は47年となっています。この数字だけを見て、木造住宅は30年を超えると住むことができないほどの状態になっていると思われる方もおられるのではないでしょうか。


しかし、それは大きな誤解と言えます。耐用年数とは、税務上減価償却処理をする場合のために設けられた基準。つまり、「耐用年数=建物の寿命」ではないのです。新築で木造一戸建てを買うとき、35年でローンを組む人の多い日本。30年経ったら住めなくなる家を35年のローンで買うと言うことが不自然であることは一目瞭然でしょう。実際、木造の一戸建てが取り壊される年数は全国平均で約58年と言われています。


気候や立地、住む人の都合などによって変動はするものの、築30年を超えた物件に住んでいると言う人は大勢いるのです。木造住宅で築30年を超えているからと言う理由でその物件を候補から外すのは早計と言えます。築30年を超えていても物件の状態が良ければ、リノベーションして長く住むこともできます。


建物の寿命は建物の状態や住まい方によって大きく変動する

今(2020年)から30年前の1990年ごろの日本は、高度成長期の後のバブル期。築30年を超える物件は、バブル期以前の高度成長期に建てられたものになります。実は、この年代に建てられた建物の中には、あまり良い状態とは言えない建物があるのです。



高度成長期は、(当時)若くて人数の多い「団塊の世代」と言われる人々がマイホームを買った時代であり、「家をとりあえず建てれば売れる」状況だったと言われています。東京や大阪などの大都市近郊にはニュータウンと呼ばれる大型の団地が大量に造成され、戸建て住宅や4~5階建ての集合住宅がたくさん建てられました。


この時代に建てられた家の中には採算性重視のものが多いと言われ、上がり続ける需要に間に合うように、安くて早い家が素早く大量に供給されたと言われているのです。


この安くて早い家の特徴は、化学合成品で作られた建材を使っていること。例えば、家の骨組みである柱や梁を、断面寸法の小さい木材をボンドで貼り付けた集成材にしたり、外壁を安価ではあるものの継ぎ目が劣化しやすいと言われるサイディングにしたり、内装を合板のフローリングやビニールクロスにしたり、といった具合です。これらの化学合成品で作られた建材は、新築の時は美しく見えるものの、耐久性で劣る場合が多いと言われています。


全ての家がそうであるとは断言できませんが、このような状態の家は、築30年を超えると劣化が目立つようになっている可能性が高いため、リノベーションのために購入するには向いていないかもしれません。


柱の側などにシロアリが侵入していることを示す蟻土(ぎど・画像中心から下にかけて写っている土)があると要注意


一方、前述の安くて早い家ではないしっかりとした頑丈な作りの家ならば全て大丈夫、と言うわけでもありません。前の住人がシロアリ対策や雨漏り対策、カビ対策などを怠り、適切にメンテナンスしていない住まい方をしていたら、せっかくのしっかりとした作りの住宅も構造部分が劣化している可能性があります。その際は大規模な修繕・補強の工事が必要になるでしょう。


いずれのケースにせよ、30年以上の年月を経た家は、状態の良い物件とそうでない物件の差が大きくなっています。購入の前に物件の状態をしっかりと確認しましょう。


特に1981年以前に建てられた家は耐震補強工事が必要な可能性がある


1981年6月1日、建築基準法の改正による「新耐震基準」が施行されました。この基準では、それ以前の旧耐震基準が「震度5程度の地震で建物が倒壊・崩壊しない程度」と定められていたのに対し、新耐震基準は「震度5程度の地震でも、建築材の各部が損傷を受けないこと」と、揺れに対する耐久性がより厳格化されています。さらに、震度5を超える震度6~7の揺れに遭っても倒壊・崩壊しないこと、という厳しい基準が設けられています。


実際に、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、被害状況が「小破~大破以上」となった建物は、新耐震基準の建物は30%弱だったのに対し、新耐震基準を満たしていない建物は70%弱に上ったと言うデータが残っており、この基準がある程度信頼できるものであることを裏付けています。


兵庫県神戸市にある阪神・淡路大震災の慰霊碑 いざという時生死を分ける建物の耐震性を決して軽視してはいけない


購入を検討している中古住宅が新耐震基準を満たしていない場合は、リノベーションによって耐震補強工事を行う必要があります。外側からは綺麗に見えて問題がないように思えても、内部の柱や基礎、土台などの見えない部分が劣化している可能性があるため、リノベーション業者や専門家に依頼して診断してもらうのが安心です。



また、旧耐震基準の建物の場合、耐震診断の補助制度を実施している市町村も多くあります。制度のある市町村に目当ての物件あり、それが旧耐震基準の建物の場合は、制度を利用して実質負担なしで診断してもらえます。


築年数よりも状態を見て判断すべき

突然ですが、ここで家の築年数を人間の年齢に置き換えて考えてみましょう。同じ年齢であっても、若い頃から暴飲暴食や運動不足、喫煙など、体に悪いことを習慣にしていた人と、食習慣に気をつけて適度に運動している人とでは、30歳を超えた辺りから健康面や見た目に差が生まれてくるのではないでしょうか。早いうちに生活習慣を改めないと余命も短くなってしまうことでしょう。


状態の良い築84年の古民家を元々の雰囲気を生かしながら美しくリノベーションした例


同じように、築30年を超える中古住宅でも、適切にメンテナンスをされている状態の良い物件であれば、リノベーションしてこの先長く暮らすことができます。


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