
2018.07.10
賃貸経営の幅が広がる!DIY賃貸のススメ
暮らしのQ&A
「住んでいる家を自分の好きなような空間にしたい。」
「自分らしい暮らしをしていきたい。」
近年そういったニーズが若い人を中心に広がっています。そんな中注目を集めているのが「DIY」です。「DIY」とは「Do It Yourself」の略であり、専門家や業者に任せず自分自身で何かを作ることをさします。DIYをすれば自分の好きなように部屋を改修、修繕することができます。
例えば木の棚を増設したり、机を作ったり、壁に色を塗ったり、キッチンや洗面台を自分好みにアレンジしたり・・・。そういったものを自分で考えて実際に作ることで、作る楽しみを味わえるのが魅力です。また業者に頼むより費用を抑えることもできます。 数年前からDIYという言葉は年々普及しブームを巻き起こしました。DIYに必要な資材もホームセンターやネットで手に入るため、気軽に誰でも楽しめます。
賃貸物件のDIY

賃貸物件でもDIYをするという方が近年増えてきています。しかし賃貸物件は退去時に原状回復を行うのが一般的です。基本的に借りた部屋に無許可で改修をおこなっては行けないため、壁紙を勝手に張り替えたり、大きな穴をあけたりする等部屋を直接改修することはNGと考えたほうがよいでしょう。 せっかくDIYしたが原状回復時に元に戻す必要があり、原状回復費用が多くかかってしまうということもあります。
そのため原状回復が簡単にできるよう、貼って剥がせる壁紙や板など使用することで部屋の壁や床を直接傷つけないDIYが人気になっています。退去時には張り付けた壁紙や板を撤去するだけなので、原状回復の負担も少なくなります。このように通常賃貸物件でDIYをする場合、原状回復までを考えたDIYをしていく必要があります。
原状回復義務のないDIY可能な賃貸物件

そんな中賃貸物件にも「DIY可」と表記される物件があり、そういった賃貸物件は近年増えてきています。入居者が部屋の許可されている箇所を自由に改修してもいい物件のことです。一般的に築年数が古い物件が多いです。契約内容にもよりますが、原状回復義務がなく賃料が安めという特徴があります。 物件によって自由度に違いはあり改修費用も基本的に入居者負担ですが、賃貸物件でありながら自由に自分好みの部屋に模様替えすることができます。
もちろん貸主への報告はしなければいけませんが、好みに模様替えできるというのは魅力的です。壁紙の色を変えるだけでも部屋の雰囲気は変わるので、いつもと違った生活を味わうことができます。 古い物件を有効活用でき、原状回復も必要のない貸主借主双方にメリットがあるDIY可能物件は需要を増しています。日本では人口減少による空き家率の上昇が社会問題化しており国もDIY賃貸を空室対策として推進しています。国土交通省がルールの整備に取り組み、2016年に「DIY型賃貸借」の契約書式例とその活用にあたってのガイドブックを発表しました。現在下記の国土交通省ホームページからダウンロードすることができます。
国土交通省 DIY型賃貸借に関する契約書式例とガイドブック
DIY型賃貸借の流れ

取り決め事項例

出典:国土交通省ホームページ 資料「DIY型賃貸借のすすめ」より転載
貸主、借主のメリットとデメリット

このように近年増えてきているDIY型賃貸。空室を埋めるために自分の賃貸物件をDIY可能にするというのも一つの選択肢になっています。DIY型賃貸は貸主と借主双方にメリットがありますが、どのようなメリットがあるのでしょうか?反対にデメリットもみていきます。
貸主側メリット
・DIYに関心のある層にアピールできるので、古い賃貸物件でも空室を埋める対策になる。
・借主が費用を出して好みの模様替えをおこなうので、長期間の居住を見込みやすく、安定した家賃収入になる可能性がある。
・借主に費用を出してもらってDIYしてもらうことで、次の入居前の修繕にかかる費用負担が減る。
・明け渡し時にDIYにより設備や内装がランクアップしている可能性がある。
貸主側デメリット
・賃料が相場より低くなる。
・借主の好みに部屋が変わっているため退去後部屋の状態によっては次の利用者が見つかりにくい事がある。
・手続きや取り決めが通常の賃貸契約と違う。
・契約時に借主としっかり事前の取り決めをしないと後々トラブルになる可能性がある。
・DIYに興味がない層へはアピールにならない。
借主側メリット
・貸主に申請すれば自分の好みに部屋を模様替えできる。
・DIY費用を負担する分、賃料が相場より安くなる。
・原状回復費用がかからない。(契約内容によってはかかる場合もある。)
借主側デメリット
・修繕費が自己負担になる。
・自分でDIYする場合、完成度は自分次第になってしまう。
・プロにDIYを頼む場合、思ったより費用が掛かる可能性がある。
DIY型賃貸借は事前の取り決めをしっかりと

近年注目を浴びてきたDIY賃貸。若者を対象に需要が増えているので手持ちの物件をDIY可能にしようかとお考えの方もいらっしゃると思います。ですが注意点も存在しています。DIY型賃貸借契約を結ぶ場合は通常の賃貸借契約と違い、「DIY工事の申請書」、「DIY工事の承諾書」、「DIY工事の詳細な取り決めに関する合意書」を交わす必要があります。
国土交通省では契約時のトラブルを未然に防止するため、DIY型賃貸借の契約書式例を作成、ホームページに掲載しているのでDIY型賃貸借を考える際はトラブルを防ぐためにも内容をしっかりと確認したほうがよいでしょう。契約を円滑に行うには貸主と借主が十分にDIY内容や決めごとを明確にし、コミュニケーションをとる必要もあります。退去時の対応、造作家具の所有権、原状回復の有無等々双方合意の上でしっかりと取り決めましょう。
一般的な賃貸借契約とDIY型賃貸借契約の手続きの違い

出典:国土交通省ホームページ 資料「DIY型賃貸借のすすめ」より転載
まとめ
DIY賃貸は古い物件でも空室対策になります。ですが水回りや電気設備など専門業者でなければ手を加えるのが難しい箇所はある程度新しいものを設置しておいたほうが喜ばれます。逆にそのような箇所を疎かにしているとDIY賃貸物件にしてもマイナスになってしまいます。 DIY賃貸をやるならしっかりと戦略を立てる必要もあるため、賃貸管理のプロに相談するのも一つの選択肢です。
「DIY賃貸にしたいけど実際にどういう手続きをすればいいのかわからない。」
「一般的な賃貸借契約とどう違うのかわからない。」
「原状回復のありorなしはどう決めたらいいのか。」
「借主とどういった取り決めを事前にすればいいのかわからない。」
DIY可能な物件であることをより一層活かすため、管理会社との協力関係は重要になってきます。このようなことでお悩みの方はまずは管理会社へ相談してみましょう。