
2018.07.07
サラリーマン・オーナーが賃貸経営で成功するために知っておくべき3つのリスク
暮らしのQ&A
賃貸住宅経営はサラリーマンに最適と言われますが、実際はどうなのでしょうか?安定した副収入を得ようとサラリーマンが賃貸住宅経営に乗り出していますが、果たしてどの程度の副収入が期待できるのでしょうか? 「サラリーマン・オーナー」として賃貸経営に成功すれば、家賃収入を安定的に確保する道が開けますが、実際はそう簡単ではありません。サラリーマン・オーナーが賃貸経営で成功するために必要なポイントを、今回はリスクに焦点を当てて解説していきます。
3つのリスクに注意!
賃貸経営では、土地と建物という実物資産へ投資することになり、株式などと比べて大幅な値上がりは見込めませんが、価値が大きく減少する可能性は低く、無価値になることはまずありません。 また、株式への投資と異なり融資を受けられるという特徴もあり、さらに努力次第では購入時よりも不動産を高く売ることもできます。 このような「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資と位置付けられる賃貸経営で、事前に織り込んでおきたい主なリスクは下記の3点になります。
1. 空室
2. 家賃下落
3. 流動性
空室リスク
賃貸経営には空室リスクがつきもので、日本では人口が減少しているため、その影響も無視できません。では、実際にどのくらい人口は減少していくのでしょうか。2018年3月30日、国立社会保障・人口問題研究所が人口動態に関するデータを発表しました。内容は、2030年にはすべての都道府県で人口が減少し、2045年までに日本の総人口は1億0642万人になると予想されています。
これは、2015年の総人口が1億2709万人だったから、今後30年で2000万人以上減少することを意味しています。中でも、大きく落ち込むのは都市部より地方になり、3割の減少が見込まれています。人口減少の影響は、賃貸住宅の空室率に影響してくると考えられ、やはり全国レベルでは空室率は上昇傾向にあります。
一方で、三大都市圏や札幌、仙台、広島、福岡の各市では、他の都市に比べれば底堅く推移しています。しかしながら、入居者の中心である20~30代の人口ボリュームは減少してきており、空室率は緩やかに上昇していくと考えられます。このため、空室リスクを事業計画に盛り込み、空室率を低減できるような魅力的な物件作りを行う必要があります。
家賃下落リスク

空室が増えれば家賃下落に圧力がかかってきます。老朽化に伴う修繕費の負担も考えると、物件取得の際には5年で5%程度の賃料下落を織り込むのが安全と思われます。このように全国的な動向に加え、都市部と地方での違いなど、その地域特有の事情も合わせた上で事業計画を策定する必要があります。
また、人気の高い設備を整えるなど物件の魅力を高めることで、空室リスクを低減させ、家賃下落のリスクも抑えていくことが大切です。これらのリスクに対応していくことは、物件の価値を高めることに繋がり、現在よりも家賃を高く設定できる場合もあります。
流動性リスク
株式とは異なり無価値になることがほぼない不動産ですが、相対取引で流動性が低いのも不動産の特徴になります。流動性が低いと、その時々の経済情勢や銀行の融資姿勢などによっては買い手がつきにくくなる場合があります。そのため、市況がよくない時に現金化を急げば、足元を見られて不動産を安く買いたたかれてしまいます。
そういった流動性の低い市場では、モノの適正価格は判別しづらいため、不動産売買を検討される場合は、その地域特性に詳しい不動産会社に相談してみるとよいでしょう。そして、流動性が低く、安く買いたたかれてしまう可能性のある市場というのは、逆にいえば相場と比べて安い金額で物件を購入できる可能性もあるということです。
中には、家賃の滞納や入居者同士のトラブル、事件や事故を起こすといった人的リスクによる経営の不安定さからどうしても個別の事情で早く物件を売却したいという方もいます。また、相続税の納税による現金の不足も、思わぬ高利回りの物件が出る理由の1つになります。