2019.07.26

省エネ時代だからこそ注目したい「軒」について

建てる

日本家屋には、伝統的に大きな「軒(のき)」があります。現代風の家でも、長めの軒を残しているデザインの家は残っていますが、スクエア型の家屋を筆頭に、軒が全くない、あるいは短くなっている家が増えてきています。

しかし、一方で、軒は家を守る効果があったり、温度調節機能があったりと、その機能性が再評価されています。軒がない家が増えている現代。そんな軒のメリットとデメリットを見ていきましょう。

軒のメリット

雨漏りのリスクを低減

軒には、雨から建物を守る役割があります。家の上に降った雨水が屋根を伝って地面に流れ落ちる際、長めの軒があると建物から遠い場所に雨水が落ちます。

建物に雨水がかかりにくくなるため、雨漏りのリスクが低減されるのです。

軒のない家では、大量の雨水が外壁を伝って落ちてくるため、横殴りの雨が換気口や、室外の給湯器の配管と外壁の境目から水が入り込み、雨漏りの原因となる可能性があります。

外壁の劣化を遅くする

外壁に雨水がつきにくいため、軒のある家の外壁は、軒の短い、あるいは無い家の外壁よりも劣化が遅いと言われています。

軒がない家は、外壁にタイルを貼ることで雨風から外壁を守ることができますが、濡れないに越したことはありません。

また、近年の都市部の雨は、車の排気ガスや工場からの煙の微細な塵を含んでいることが多いため、頻繁に濡れているとそれだけ汚れてしまいます。

洗濯物が濡れにくい

軒が深いことで外壁に雨水がかかりにくいということは、軒の下にあるベランダにも水が入りにくいということ。そこに干している洗濯物も濡れにくくなります。

風が強く、横殴りのような雨ではない限り、雨量が多くても影響が少ないと言われています。

洗濯物を干したまま出かけた先で、突然の雨…という状況でも、軒のある家ならば洗濯物が濡れずに済むかもしれません。

夏は涼しく冬は暖かく

軒がある家は、夏場の日差しが窓から家に入りにくくなっています。

夏の日中は、太陽が高い位置にありほぼ真上に近い位置から日差しが差し込みます。

軒は、そのような上からの強烈な日差しを遮り、日差しによって室温が上昇するのを防いでくれるのです。

軒が無かったり、日光を遮るほど長くなかったりする家は、窓から夏の強烈な日差しが入り、室内の温度が上昇しやすくなってしまいます。

冬は日差しを室内に取り入れる

反対に、軒のある家は冬場には多くの日差しが取り入れられるようになっています。

冬場は太陽の位置が低く、家の斜め横の位置から日光が差すため、軒があっても日光がたくさん部屋に入ってきます。太陽の光が部屋に入るということは、部屋が暖かくなりやすいということ。

日照時間の少ない冬場でも、部屋は問題なく温まります。

かつて、エアコンなどが無かった時代から、先人たちは軒を用いることで夏場の日差しを防ぎ、冬には日差しを取り込んで、室内の温度調節を行なっていたのです。

デメリットもある

メリットの多い軒ですが、当然デメリットもあります。

広い土地が必要

軒のある家を作る際、軒の分スペースを取ってしまうため、広い土地が必要になります。

都市部の狭い土地に家を立てる際は、これは切実な問題となり、実際に都会の狭い土地には軒のない家が建てられることも多いようです。

初期費用が高くなる

長めの軒を作ると、短い軒や軒なしの家よりも資材と手間が必要となり、当然住宅を建てる際の初期費用が高くなります。

しかし、雨漏りを防いだり、外壁を保護したりといって軒のメリットを考えると、後々のメンテナンス費用は安く済むことでしょう。

ベランダに埃がたまる

ベランダに雨水が浸入しにくいのは、軒のある家のメリットでもあります。

しかし、水が入らないことにより、ベランダに溜まった埃が流れにくくなる、ということもあるようです。

気が付いた時に清掃をするようにしましょう。

軒のメリットは人によってはデメリット

夏場の日差しを遮ってくれる軒。しかし、それは、部屋に届く熱だけではなく、明かりも遮ってしまいます。

当然、採光性が下がってしまうため、昼間でも照明をつける必要があるかもしれません。

日差しの入る明るい家に憧れている人にとっては、軒のメリットはデメリットとなってしまいます。

つまり、生活する上でどこに重点を置くかで、長い軒を作るか、短い軒や軒なしにするかが変わってくると言えるでしょう。