2019.04.24

シロアリ対策、花粉症対策にも効果あり!?国産の木材で家を建てるメリット

建てる

日本は、国土のおよそ7割が森林に覆われている「森林大国」です。そのうち、約半分が天然林で、約4割が植林による人工林と言われています。その総面積は2500万ヘクタールを超えると言われ、国土の面積が世界で第66位にすぎない日本が、森林の面積ではなんと世界で第23位にまで浮上するのです。

森がたくさんあるイメージの強いヨーロッパ諸国で、日本よりも森林が多い国は、ロシアとスェーデンのみという結果になっています。その量は、日本のすべての木材の需要を毎年国産材のみでまかなったとしても減らないと言われるほどです。しかし、それだけの量の森林がありながら、日本の木材の自給率はなんと3割程度なのです。 最大の理由はコストにあると言われ、国産材は輸入材よりも2割程度高いとされています。しかし、国産材には、その割高な分をカバーできるメリットがあるのです。

湿気に強い国産材

現在、住宅の建材として一番多く使用されているのが、ホワイトウッドと言われるヨーロッパやアメリカ大陸からの輸入木材です。乾燥した地域で育ってきたこの木は湿気や腐朽菌に弱く、「腐りやすい」木であると、木材業者の間では常識となっているようです。しかし、日本は世界的に見て高温・多湿の気候の国です。価格が割安だからといってホワイトウッドで家を建てると、家の寿命が短くなってしまうことは目に見えています。

それに対し、もともと高温多湿の日本で育ってきたヒノキやスギなどの国産材は腐りにくいことで有名です。木材・住宅情報交流組織LICC(リック)の試験によると、野ざらしの状態で4年半放置したホワイトウッドは腐ってバラバラに崩れ落ちたのに対し、ヒノキ、スギは原型をとどめたままであったという結果が出ています。その耐久性には大きな差があると言えるでしょう。 日本農林規格(JAS)による樹種の耐朽性区分でも、ヒノキやスギといった国産材は「耐朽性 大」に分類されています。

シロアリにも強い国産材

マイホームの建材を選ぶ際、シロアリに強い素材であるかどうかというのは大きなポイントです。木材製材、プレカット加工販売を行なっている株式会社山長商店が行なった、180日間でシロアリの被害がどれほど出るかという実験では、ホワイトウッドが最も食害を受け、穴だらけになっていたという結果が出ています。

それに対し、ヒノキはほとんど無傷で、杉も被害が少なかったという結果が出ているのです。もちろん、乾燥対策など、適切なシロアリ対策を行わなければ、頑丈な木材を選んでいても被害を受けることがあるかもしれません。しかし、同じ状況下で明らかな強さを発揮した国産材、特にヒノキ材は、住宅の建材として使うには適した素材と言えます。

使われないスギ・ヒノキが増え、花粉の量が激増している!?

日本人の国民病と言えるほど、たくさんの方が苦しんでいる「花粉症」。その代表格が、スギ・ヒノキによる花粉です。なぜ、近年患者数が増え続けているのでしょうか。現在、花粉症が増えている原因として考えられているのが、1950年代〜70年代にかけて、大量にスギ・ヒノキが植林されたことにあると言われています。その植林された木が成長して続々と生殖期に入ったことにより、現在花粉の量が激増しているのです。

しかし、日本の木材の自給率はわずか3割。すべての需要を国産の木でまかなってもスギ・ヒノキは減らない状況なので、花粉を出す木がどんどん増え、花粉の量も増えているのです。輸入のホワイトウッドを使うのではなく、国内に有り余っているスギ・ヒノキを建材として有効活用すれば、花粉の発生源である木が絶対的に減るため、花粉の量が減ることになります。

花粉発生源の一角であるヒノキは優秀な建築素材

前記の湿気やシロアリに対する強さの実験の結果を見ると、腐食やシロアリに強いヒノキの無垢材は、家を支える素材としてはとても優秀な素材だと言えます。また、世界最古の木造建築として、国宝になっている法隆寺の五重塔の心柱は、西暦590年代に伐採されたヒノキです。1500年近く建物を支えられる、日本の風土に適した建築素材なのです。