
2022.12.27
日本初!?糠漬け×洋食「糠漬工房Nipote」で新たな味覚との出会い
広島の街
広島市西区横川町の北にある三篠町。さまざまなジャンルの美味しいお店がひしめき合う今注目のエリアにニューオープンされた「糠漬工房Nipote(ニポテ)」は、日本では例にない、糠漬けを専門とした洋食店です。出店までの経緯や、こだわり、ぜひ食べて欲しい1品まで、余すことなくご紹介します。

日本初!?糠漬け×洋食「糠漬工房Nipote」で新たな味覚との出会い
広島市の中心部に隣接する西区三篠町に2022年7月にオープンしたばかりの「糠漬工房Nipote」。横川駅から北に歩いて5分というアクセスしやすい場所にある洋食のレストランです。白で統一された外観とオーニング。対照的に大きめの観葉植物と本物の鹿のツノを用いたドアノブが特徴的なガラス張りのおしゃれなお店です。

企画から1年。待望のOPENまでの誕生秘話
元々は築80年のクリーニング店舗だったというNipote。「店内は以前のクリーニング店舗時代は天井があったのですが、その天井を抜くと今の梁が出てきて。」とおっしゃるのは、Nipote代表の達川さん。店舗を見つけた時から、今の店舗の特徴とも言える梁と出会い、現在の店舗にもそのまま使用しているそう。
この梁が新しくも趣のある過ごしやすい空間演出に繋がっているのかもしれません。「古くからの伝統を次世代の伝統へつなげる」というお店のコンセプトを元に、細部にまでこだわって作り上げた空間が広がります。

カウンターが11席と立ち飲みスペースにテーブルが3つほどの店内。美味しい料理と、糠漬けに合わせてセレクトされたワインを中心としたお酒も提供されています。

日本初の糠漬けを専門洋食店が出来上がるまで

長年飲食業界に携わってきたNipote代表の達川さんとシェフの藤原さん。お二人は大学時代に出会い、当時からの念願かなって今回の出店に至ったそう。糠漬け専門に至った経緯としては、テイクアウト、卸売りどれも可能な業態を望む中で、さまざまなジャンルを検討されていたのだとか。
「店舗のジャンル検討段階で息詰まりかけたときに、シェフから、糠漬けはどう?という提案があったんです。」と達川さん。最初は正直糠漬けに対して、「田舎に帰った時におばあちゃんの手作りを食べたことがあったくらい」の存在だったそうです。一方で糠漬けというアイデアを出したシェフは、元々洋食店時代から修行の傍ら趣味で糠漬けを作っていたそう。糠漬けと洋食という斬新なアイデアを実現させた立役者は間違いなく、シェフと、そのシェフがもつ豊富な経験からといえそうです。
そんな状況で始まった料理の企画。始まりは野菜の糠漬け試作でしたが、ある日魚の糠漬けを使った試作を藤原さんが持ってきてくださったことが全ての始まりだったそうです。「え、すごくおいしい。」と、実際に料理になるイメージも味の想像もついていなかった状況で初めて料理を食べた瞬間衝撃が走ったそう。
これをきっかけに、糠漬け料理を元に、開店までさらに料理の味をブラッシュアップするべく試作を作る日々が続きました。試作やお店を作る過程で、糠漬けを専門にやっているお店は日本規模でみても調べる限り、1店舗しかないことを知った達川さん。さらに、唯一ある糠漬け専門の店舗も和食テイストの飲食店だったので、糠漬け×洋食は、日本でも初の試みといえる飲食店です。
こだわりの食材で作られる「新感覚の味」
材料へのこだわり
「NipoteをOPENするまでには色々な経緯がありました。コロナ禍の影響もあり、内装の工事が思うように進まなかったり、時代の洗礼もありました。糠床も料理の味に合うよう1から作っています。」
使う米ぬかでも味の変化があるそうで、Nipoteではぬかからこだわるべく、広島で一番古くからお米の卸を営まれている海田町にあるカツヤさんのこだわりのぬかを使用しています。そのため糠の鮮度も抜群で、安心安全の糠漬けを提供されています。
こだわりはこれだけではありません。「副材料に何を使うかによって、糠漬けの味も変わってきます。Nipoteでは植物性の素材のみを使用し、動物性の素材は使わないようにしています。動物性のものが悪というわけではないのですが、試行錯誤をへて、Nipoteが提供する洋食と相性が良い糠床を作るためには、植物性の方がよいという結論に至りました。」と達川さん。
そんなこだわりの結晶、優しい味が特徴的なNipoteの魅力ともいえます。

また、ぬかを保存する棚にも一工夫あるそうです。
「通常の糠漬けだと常温で一気に菌を発酵させる方法か、冷蔵庫でゆっくり発酵を進めるかの2パターンあり、前者だと発酵が進みすぎるので、抑制をかけるためにさらに塩を追加したり、後者だと、熟成が進みにくいので美味みが出なくなるというデメリットがあります。どちらもの良いところをとって、塩分を控えて旨みを出すためにこだわった温度で糠を保存しています。」
一見おしゃれに保存されているように見える冷蔵棚ですが、こんなこだわりが隠れているとは。細部にまでこだわる達川さんの熱意を感じます。

新商品の企画、農家さんとの繋がり
OPEN以降も新商品は主にシェフ藤原さんの担当。今までの経験から生み出される幅広い味の棚から、糠漬けに合うものを日々厳選しているそうです。
「季節の食材や飲食業界で流行っている食材を導入するとしても、糠漬けと掛け合わされることで、流行っているけど他のお店では提供していない味が出ることが強みだと思います。ただその中でも糠漬けに合う合わないはあるので、常にトライアンドエラーでやっています。」
食材は、日々農家さんから直接仕入れられているそうで、「この野菜を使ってみてよ!」と農家さんからリクエストがあることも。メニューに使われているお野菜も日々少しずつ変わっているそうで、同じ商品であれ、2度3度行っても少しずつ違う味を楽しむことができます。

みなさんの一押しメニュー
そんなこだわり抜いた材料とストーリーの中で提供されるNipoteの料理。やはり欠かせない人気メニューは季節の野菜を使用した旬の野菜糠漬けの盛り合わせだそう。今回の取材では、代表の達川さん、シェフの藤原さん、取材時に出勤されていたスタッフさんにもそれぞれおすすめのメニューを教えていただきました。ぜひ、来店された際は食べてみてくださいね。
まずは達川さんおすすめは鮮魚のポワレ。「やはり初めて糠漬けにして食べたお魚の味が忘れられない」とのこと。魚自体の味は糠漬けにした際の塩分のみ。柔らかな塩味が口いっぱいに広がります。

シェフの藤原さん、椎茸のソテーにフランス産コンテチーズをふりかけた1品。今までメニューを試作してきた中で、自身の中で一番組み合わせがバッチリハマったと感じる料理だそう。シェフの一推しとなると、ぜひ、食べてみたい一品です。

スタッフさんのおすすめは、「ジャガイモの糠漬け」とのこと。あまり聞きなじみのない、ジャガイモの糠漬け。楽しめるメニューは、いくつかあるそう。糠漬けしたジャガイモが付け合わせとして乗っている料理や、黒毛和牛サーロインには、糠漬けジャガイモをフライドポテトにした付け合わせがついているそうです。メニューの内容は変わる可能性もあるので、気になった方はぜひスタッフさんに聞いてから注文してみてください。

取材スタッフが気になったメニューは、バタートースト。もちろんただのバタートーストではなく、バターには糠漬けをしようしています。通常より長く漬けた古漬けと呼ばれる塩分を高めに作った糠漬けを細かく刻んで無塩バターに入れることによって、程良い塩味の糠漬けバターが乗っているのが特徴です。
もちろんメインメニューにも全ての商品に糠漬けが使用されており、今まで食べたことのない新感覚の洋食を楽しめるのは、Nipoteだけです。

OPENして一番感動した瞬間

オープンしてまもないNipoteですが、さまざまな試行錯誤と苦労の末オープンを迎えられたことを知り、逆に嬉しかった瞬間もお聞きすると、感動エピソードを語ってくださいました。
「あるとき40~50代くらいの、一見これまで美味しいものをたくさん食べてきたと思しき経験豊かなお客様が来店されたことがありました。そのお客様が「これだけ食べてきた中で、また新しい味覚に出会えると思っていなかった」とのお言葉を下さりまして。何気ない会話をしていたときにそんなお言葉をいただいて、息を飲み感動した記憶があります。それが一番嬉しかった瞬間でしょうか。」
長年飲食店で働いてきた達川さん自身もこのような言葉をもらった経験はなかったそうで、嬉しさで震えてしまったそう。さらには1度ではなく、複数のお客様から同じニュアンスのコメントをいただいたそうで、とても嬉しそうにお話いただき、取材陣もうるっと、感動してしまいました。
そんな感動エピソードを聞くと、ますますご近所のみなさんにはもちろん、遠方の方も、記念日でも、何気ない日の思い出にも、「新たな感覚に出会えるお店Nipote」に行って、食事を楽しんでいただきたいとひしひしと感じます。
新感覚を美味しく、健康に味わえるお店Nipote
直近の展開としては、テイクアウトで野菜の糠漬けや、糠床のテイクアウトも視野に入れられているそうです。
「洋食と掛け合わせているNipoteの糠漬けですが、白ごはんとも相性バッチリです。テイクアウトでは、糠漬けの販売も予定しているので、白ごはんや、日本酒とともに、Nipote店内では提供していない、自宅で新たな糠漬けの楽しんで欲しいです。」
洋食店ということもあり、お店ではペアリングの提供として自然派ワインやウィスキーが中心ですが、テイクアウトして、自分だけのNipoteとのペアリング探しを楽しめる日も近いです。最後に、お店の展望をお伺いしたところ、「ゆくゆくは糠漬けだけでなく、キムチやお豆腐など発酵食品専門の工房にしていくことも視野に入れています。」と構想段階のお話も聞かせていただきました。
「何があっても良いようにキッチンを広めに設計しました。」との言葉通り、これから「工房」Nipoteとして、さまざまなことにチャレンジして更なる新たな味覚を提供し続けてくれることでしょう。OPENしたでのNiopoteですが、今後新たな商品が生まれる日も近いかもしれません。今後の展開にもぜひ、ご注目ください。
その前に、まずは免疫力アップ効果もあるといわれている糠漬けと、洋食の生み出す新しい味覚との出会い、皆さんも楽しんでくださいね。
糠漬工房Nipoteの店舗情報
店名:糠漬工房Nipote(ニポテ)
住所:広島市西区三篠町2丁目6-15
電話番号:082-909-9350
営業時間:17:00~22:00(L.O.21:00) ランチタイム休止中
予約:可(お電話もしくはインスタグラムDMにて)
定休日:基本火曜日(変更の場合もあります)
駐車場:なし (近所にコインパーキングがあります)
Instagram
