
知らないと後悔?知っておくべき中古マンションリノベーションのデメリット
新築よりも低コストで好みの住まいを実現できる中古マンションリノベーション。メリットがある一方で様々なデメリットも。後悔しないリノベーションを行なうためにも、知っておくべきデメリットを徹底解説します。
目次[非表示]
- 1.中古マンションリノベーションが注目される理由
- 1.1.リノベーションとリフォームの違い
- 1.2.手の届く価格
- 1.3.安定した資産価値
- 1.4.立地の良い物件がたくさん
- 2.マンションリノベーションができない部分
- 2.1.リノベーションが可能なのは部屋内部のみ!
- 2.2.リノベーションができないところをチェック
- 2.3.間取り変更のできない壁式工法
- 2.4.水回り移動は「配管経路」に注意
- 2.5.最低居住面積水準を満たしにくい場合も
- 3.マンションリノベーションの大きなデメリット
- 3.1.基盤や耐震性に不安がある場合も
- 3.2.修繕積立金を甘く考えない
- 3.3.自分好みにしすぎた場合、将来売却がしづらい
- 3.4.施工費が想定よりも高くなってしまうことも
- 3.5.ローンの金利が高くなってしまう
- 4.価値ある住空間にするために
中古マンションリノベーションが注目される理由
「中古」×「リノベーション」の住宅の購入は、近年若い世代に人気となっています。注目される主な理由は、好みのデザインにカスタマイズできて、更に新築よりも抑えた予算で夢の住空間が実現できるからです。
リノベーションとリフォームの違い
そもそも、リノベーションとリフォームは響きが似ているので混同されがちですがそれぞれが持つ意味は異なります。
リノベーションとは、手を加えて良くする「再生」を意味し、住宅の工事においては、既存の建物をより良くさせるために大きく手が入る大規模工事を指します。一方、リフォームとは、作り直すことで「改築」「改装」を意味し、住居の工事では主に修復の必要な部分を現状に戻す作業のことで比較的小規模な工事となります。
手の届く価格
かつては、新築のマイホームを買うことが夢となっていた「新築文化」の時代がありました。「買うなら新築の一軒家」という価値観が存在していた頃に比べ、およそ4~5年前から現在にかけて住宅購入者の意識が変わり、新築のように新しくて高額になる良い物件よりも中古でいいから「安くて自分らしい住空間」にできる物件へ価値を置く人々が増えています。
こうした現代人の需要にフィットしたのが、新築に比べるとローコストとなる中古マンションです。条件にあった中古マンションを購入し、そこにリノベーションを加えて予算内に収め、さらに自分らしい暮らしをカスタマイズできるという魅力がリノベーションサービスの増加へと繋がっています。
安定した資産価値
家でもマンションでも物件を購入するにあたり、気になるのがその後の資産価値。安定した資産価値には、様々な条件が存在します。
建物は当然ながら経年変化により劣化し、一般的には建物の資産価値もその劣化に伴って下がっていくものです。しかし、マンションに関しては築年数が増すほど価値が下がるものではなく、一定の期間を経過するとそこからはほとんど下がらないのです。
そして別の資産価値として挙げられるのが部屋自体への需要です。マンションでリノベーションされた部屋は、当然ながら以前よりも住みやすい仕様や素敵なデザインとなっていて入居者側のメリットがたくさんあるので、建物自体の劣化があってもその部屋自体の需要は一定数あると考えられ価値が下がりにくくなります。
立地の良い物件がたくさん
中古マンションのように築年数の古い建物は、そのあとに建てられる新築のマンションより好立地に建設されているものが多く、駅近でアクセスの良い場所が比較的多いです。さらに地盤の良い立地に建設されていたりします。
マンションリノベーションができない部分
ここまで、中古マンションのリノベーションがなぜ注目されるのかそのメリットを挙げてきました。しかし、マンションリノベーションにはもちろんデメリットも存在します。ここからは、中古マンションリノベーションのデメリットや知っておくべき注意点などをご紹介します。
リノベーションが可能なのは部屋内部のみ!
マンションは主に、他の入居者と共に使用する共用使用のスペースと個人個人の部屋にあたる専用使用スペースの二つがあります。そして、リノベーションができるのがその専用使用スペースにあたる部屋内部のみとなります。
しかし、部屋内部ならどこでもリノベーションが可能なわけではなく、内部でもリノベーションが行えない部分があるので注意が必要です。リノベーションができない部分を前もってチェックしておらず、リノベーションのアイディアを膨らませた後に実はできなかったのだと知りあとあと後悔しないためにもこれらの場所は事前にチェックしておきましょう。
リノベーションができないところをチェック
まずは、玄関ドアの交換です。玄関のドアは外側が共用部分に面しているため交換不可となっています。次に、上下水道やガス管などのパイプスペースも共用部分にあたるので移動はできません。続いて、部屋のサッシやバルコニーも共用部分のため交換や変更ができません。また、バルコニーは災害時の非難を妨げるようなものは置けないので注意が必要です。
このように、マンションリノベーションには変更できない場所があり自由がきかないデメリットが少なからず存在します。しかし、マンションの管理規約によってはガラスの交換が可能なところもあるようなので、気になる方は一度管理組合に確認してみることをおススメします。
間取り変更のできない壁式工法
壁式工法とは、高さ15mまでの建物に使用される構造でマンションの建築構造においては主に低層マンションで採用されます。その特徴としては、板状の壁や床だけで構成し柱や梁が室内に出ないため室内を広く使える一方、既存の壁を取り払うことができないというデメリットがあります。
壁で構造を組み立てて支えているので、その中心となる壁を取り払って部屋の大きさを広くするといったような間取りを変える大掛かりなリノベーションはできません。そのため、リビングは広々とゆったりとした開放的な住空間を作りたい方にとって、理想の空間づくりができないというデメリットがあります。
それでもどうにか取れない壁を残したまま配置を変えたり、マンションの管理規約によっては部分的に補強や撤去ができる場合もありますが、そういった場合は検査や構造計算が必要となるのであまり現実的とは言えません。
水回り移動は「配管経路」に注意
キッチンやトイレ、バスルームなど水回りは生活を快適に過ごすための大きな要因となります。利用頻度が高く家事の多くの時間を費やす水回りは、リノベーションによって「使い勝手の良いキッチン」だったり「動線の良い洗面・バスルーム」を実現したいという心理が働きます。
しかし、そこで誤った水回りのリノベーションを行ったことが原因で水漏れやカビの発生など、かえって不便さの引き金になる場合があるので配管経路の確認には注意が必要です。
移動可能かは排水管とパイプスペースの確認が重要
マンションの場合、各部屋の給排配管やガス管といった配管と排気ダクトは共用部の配管や外部と繋がっています。また、パイプスペース(PS)と呼ばれる給水管や排水管を通す空間が各部屋の床下に横引きされておりそこを排水が流れているので排水管の移動は不可となります。
また、パイプスペースの位置は正確に把握しておくことが重要です。通常、点検などの理由により玄関側に設置されていますが、マンションによってはパイプスペースの位置が部屋の中央に設置されている場合もあり、そういった場合は部屋の真ん中を取っ払うような広々としたリノベーションは難しくなるというデメリットがあります。このようにパイプスペースはプランニングに大きく影響するため注意が必要です。
充分な勾配の確保
建物上の制約として他にも注意が必要なのが、水回りの床下に充分な勾配が設置できるかどうかです。勾配は水の流れやすさに関係しており、この勾配が十分に無い場合はつまりや漏水、排水の逆流の原因ともなってしまいます。
戸建て物件の場合は、床下空間の構造が40~45cm程あり高さにゆとりがあるため水回りの設備の移動には大きな問題はありませんが、マンションでは建物上の管理規約の制約があるので事前確認は必須となるでしょう。
最低居住面積水準を満たしにくい場合も
最低居住面積水準・誘導居住面積水準とは
人が居住空間で生活する上では、快適に暮らす広さの基準が定められています。その基準となるのが、最低居住面積水準と誘導居住面積水準です。
最低居住面積水準とは、世帯人数に応じた健康で文化的な住生活を営む基礎として、必要不可欠な住宅の面積に関する水準として設けられた水準のことです。一方、誘導居住面積水準とは、豊かな生活を実現するために望ましい面積となります。
この誘導居住面積水準には、都心の中心及びその周辺における共同住宅居住を想定した「都市居住型」と、都市の郊外及び都市部以外の一般地域に建つ戸建て住宅を想定した「一般型」があります。図のように、都市居住型であるマンションは、両親と10歳以上の子どもがいる4人暮らしで95㎡の広さがあれば理想的です。マンションで床面積が90㎡以上あれば、ゆったりとしたゆとりのある4LDKの間取りが可能となります。
しかし、予算や立地など自分達にあう条件のマンションは、予算を上回ってしまう物件も少なくありません。よって、一般型の戸建てよりも面積が確保しづらくさらに価格も上回ってしまうデメリットも存在します。
マンションリノベーションの大きなデメリット
ここまでは、中古マンションでリノベーションを行えない場所や水回りの基本的なことなどをお伝えしてきました。ここからはさらに、中古マンション物件のリノベーションをするにあたっての大きなデメリット5つをご紹介します。
基盤や耐震性に不安がある場合も
中古マンションを考えたときに、まず大きなデメリットに挙げられるのがその耐震性の不安ではないでしょうか。昔から地震などの天災が多く発生する日本では、たくさんの建物が全壊や半壊し、多くの人が被害にあいました。震災の都度、建築基準法が施行されてきましたが大きく変わったのが1981年の「新耐震基準」です。
耐久性を判断する一つの指標・新耐震基準とは
一番大きな改正となった1981年の建築基準法は、1978年に仙台を襲った宮城県沖地震(マグニチュード7.4)の地震の被害を受けたものです。この地震により、死者16人、重軽傷10,119人、住家の全半壊4,385戸、一部損壊が86,101戸と多大なる被害でした。
さらに、地震の特長として挙げられるのが死者16人のうち、11名がブロック塀の倒壊が原因ということです。この改正以前の築40年以降の建物は、この新耐震基準に満たしていないものがあるので購入の際には確認が必要です。
修繕積立金を甘く考えない
修繕積立金は、建物のメンテナンス・大規模修繕工事のための積立金です。防水工事や外壁塗装が12年周期で行われ、12年24年36年と続きます。中古マンションを購入し、リノベーションを行うなら建物の寿命を延ばす修繕工事は必須となりますが、建物の築年数が長いほどこの積立金額は高くなる可能性が高いので中古マンションを購入する前には必ず金額の確認しておいてほうが良いです。
毎月毎年同じ金額ではない??
毎月一定額の支払いが発生する修繕積立金は毎月毎年同じ額とは限りません。その金額は物価が上昇するごとに上がりますし、マンションの修繕箇所が増えればその分金額も上がるので、中古マンションのようにもともと古い建物では必要な金額も大きくなります。
このように、マンション購入には戸建ての物件購入と同じ月々の住宅ローンの他にもこのような修繕積立金や管理費の支払いが発生しますししかもその金額には変動あるため長期的な資金計画が立てにくいデメリットもあるわけです。
自分好みにしすぎた場合、将来売却がしづらい
リノベーションの一番の魅力や醍醐味といえば、自分好みの動線の良い仕様やデザインをカスタマイズできることではないでしょうか。リノベーションは楽しいです。そのワクワクの気持ちのままあまりにも自分好みにしてしまうと一般的には受け入れてもらえず将来売却がなかなかできないこともあります。
「これくらいなら将来売る事ができるだろう」と思っていても実はそれが特殊な可能性があるので買い手を考えたリノベーションを行うことを考慮することが大切です。
施工費が想定よりも高くなってしまうことも
中古マンション×リノベーションの組み合わせはここ最近人気急上昇中ではありますが、実は一番購入が難しく失敗例が多いことは間違いありません。新築であれば、リスクがあまりないから購入が簡単です。しかし、中古のマンションだと、リノベーション後のイメージがつきにくく予算が決めにくいというデメリットがあります。
実際に国土交通省の調べによると、中古マンション購入者の購入理由の7割が「予算に合った金額だったから」という調査結果が出ているにも関わらず、プラスでリノベーションを行った方々の4割近くは予定の施工費よりも高くなっています。
失敗の要因となる大半は施主の要望によるものが多いのですが、物件購入の前に「自分達の理想の住空間は崩さぬまま、無理のない返済がしていける予算」というしっかりとしたプランを立てることがとても重要となります。
ローンの金利が高くなってしまう
よく利用される担保なしのリフォームローン利用は、借入額が小さいため金利が高く返済期間も短いため毎月の返済額が住宅ローンよりも高くなります。
また、大規模のリフォームで借入額が大きくなる担保アリのリフォームローンは、返済期間は長く金利は低めになりますが、住宅ローンとほぼ同様に審査が厳しくなり諸費用もかかります。そうなると、リフォームローンを単独で借りるメリットはさほどなくなります。
価値ある住空間にするために
中古物件は、このようにたくさんのデメリットが存在します。しかし、正しい知識を身に付け必要であればプロに相談することで、中古マンションリノベーションは将来的に価値のある物件となります。正しい物件選びと賢い購入の仕方で自分達にぴったりの資産価値ある住まいを実現しましょう。