
2019.07.24
引越しの時に確認しておきたいNHKの受信契約ルール
暮らしのQ&A
就職や進学により実家を離れ、一人暮らしを始めてしばらくすると、「NHKの者です」と名乗る(子会社・提携会社の)訪問員が現れ、NHKとの契約を迫られたことはありませんか?
日本の放送法の第64条では、
「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。」
と定められており、例えばテレビのような「協会の放送を受信することのできる受信設備」を購入した場合、協会=NHKと契約しなければならないことになっています。
近年、受信料の未払いなどで裁判沙汰となっているNHKの受信料問題。一体どのようなルールなのでしょうか。
放送を受信することのできる受信設備って何?

放送法によって、それを設置(保有)するだけでNHKとの契約の義務が発生すると定められている受信設備にはどのようなものがあるのでしょうか。
一般に売られているものの中では、次のような家電が該当します。
1. テレビ
2. テレビチューナーのついたDVD、ブルーレイデッキ
3. ワンセグ機能付き携帯電話
4. ワンセグ機能付きカーナビ
5. ワンセグ機能付きDVD、ブルーレイプレーヤー など
つまり、何らかの形でテレビ放送を受信できる家電を買ってしまうと、NHKと契約する必要があることになります。
特に、カーナビにワンセグ機能が付いている場合は、買う人がその機能の存在に気がつきにくいため、注意が必要です。
パソコンや携帯電話も、テレビチューナーやワンセグチューナーが付いていると対象になります。
「NHKを見ていない」は通用しない

テレビ放送を受信できるものを所持してはいるが、NHKを全く見ないと言う方も多いことでしょう。
しかし、現行の法律では、受信設備を所持している限り、NHKを見ていなくても契約しなければならないとされているのです。
国民から受信料を徴収するNHKは、いわばWOWOWやスカパーと同じような有料チャンネルであるにも関わらず、「公共放送」という立場から、スクランブル放送を行なっていません。
このため、日本国民には、NHKと契約を交わさずにテレビを所有する権利が実質ないのです。
契約したくない場合
NHKの受信料は、地上波と衛星放送のプランで、月額2,230円(口座振替の場合)。
NHKを全く見ることがない、と言う方にとっては無駄な出費となってしまいます。
万が一のことが起こった際、自分に還元される可能性のある税金や医療保険や年金、使用量によって支払う電気・ガス・水道・携帯電話などの料金とは異なり、NHK受信料は、放送を見ない人には全く還元されることのない費用です。
もし、契約する決断をするならば、積極的に視聴するのも良いかもしれません。
NHKの受信料の出費を抑えたい場合は、テレビ放送を受信できる受信設備を持たず、契約を求める訪問員が訪ねてきてもその旨を明確に説明しましょう。
モニターは受信設備に入らない

テレビチューナーの付いている「テレビ」は受信設備になりますが、チューナーが付いていないパソコン用のモニターは受信設備ではありません。
近年では、テレビと同じようなサイズの大型モニターも販売されています。
このモニターに、Apple TVやFire TVなどの、ネット上のコンテンツを楽しめるセットトップボックスを繋げば、Abema TV、Netflix、Amazon Prime Video、YouTubeなどの動画配信サービスのコンテンツを楽しむことができます。
また、Fire TVでは、フジテレビのドラマなどのコンテンツを見ることができる公式アプリ「FOD フジテレビオンデマンド」など、地上波で放送されたドラマを視聴することができるアプリも存在します。
チューナー無しのモニターとセットアップボックスの組み合わせは、この記事の執筆時点(2019年7月)ではNHKの受信料を支払う対象にはなっていません。
NHKとどうしても契約をしたくないが、テレビの代わりになる何かが欲しいと言う方は、このようなサービスを利用してみるのも良いでしょう。
受信設備を持っていなければ契約する必要はない
NHKの受信料は、税金のように日本に居住しているだけで発生する費用ではありません。
あくまでも、テレビ放送を受信できる受信設備を設置(所持)している人に契約義務があるのであって、設置(所持)していなければ契約義務はないのです。
テレビも、チューナーの付いたいかなる家電も所持していないと言う方は、訪問員に言われるがまま、よくわからないまま契約してしまわないよう注意しましょう。
契約は、双方の合意のもとで初めて行なわれるものです。
契約を交わしてしまうと、放送を見ない(見られない)にも関わらず毎月2,230円も受信料を支払わなければならないのです。



