2023.12.22
子どもが壊した物を火災保険の「破損・汚損」で直せるって本当?
暮らしのQ&A
「子どもが床をへこませたときや、家電を壊されたときには保険で直せるらしい」と、聞いたことはありませんか?
火災保険の「破損・汚損」を付帯しておけば、家の中での突発的な事故をカバーすることができます。ただし破損・汚損を付けたからといって何でも修理したり、買い替えたりできるわけではありません。今回は破損・汚損がどんな保険なのか、付帯するときの注意点を説明していきます。 破損・汚損が適用されるケース、されないケースも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
火災保険に付帯できる「破損・汚損」とは?
火災保険はその名の通り火災に備えるために加入しますが、火事だけではなく、落雷や風災などのさまざまな災害が補償されます。さらに火災保険は特約の種類が豊富で、水災や水漏れ、破損汚損をカバーできるのも特徴です。では、火災保険の破損・汚損では、具体的にどんなことに備えられるのでしょうか。
建物や家財に生じた損失が補償される
「破損・汚損」は、家の中で不足かつ突発的に起こった事故によって、壊れてしまった建物や家財が補償される保険です。実は火災保険の支払い件数がもっとも多いのは、火災による損失ではなく破損・汚損だといわれています。
破損・汚損の補償対象
破損・汚損で補償されるのは、建物や家財です。 どんな部分を直せるのか、対象となる建物と家財の一部を見てみましょう。
建物:室内の壁、床、窓ガラス、ドア、水まわり設備など
家財:テレビ、パソコン、カメラ、カーテン、ソファなどの家電や家具
壁や床などの建物からテレビまで、補償対象の一部を見るだけでも、多くのものが破損・汚損の対象となることがわかります。ただし、スマートフォンやメガネの故障は対象外としている保険会社が多いので、スマートフォンの損失に備えたい場合は“スマホ保険”への加入を検討しましょう。
破損・汚損を付帯するときの注意点
補償内容や対象を見ると万能に思える破損・汚損ですが、付帯するときにはいくつか注意点があります。
保険会社によって補償対象が異なる
生命保険の保障対象が保険会社によって少しずつ異なるように、破損・汚損も保険会社によって対象が異なります。例えば保険会社Aではパソコンやデジタルカメラなどの電子機器は補償対象でも、保険会社Bでは補償対象外というケースも。人から聞いた「これも修理できるよ」だけを信じて加入すると、補償してほしかったものが対象外だったというケースも起こり得るので注意が必要です。
自分が不安に思うリスクに備えるためにも、破損・汚損を付帯するときには、必ず補償対象や支払い例を確認しておきましょう。
なんでも直せるわけではない
建物や家財の補償が受けられる破損・汚損ですが、なんでも直せるわけではありません。経年劣化による故障や、故意の事故、機能的に問題がない場合は補償対象外になることがほとんどです。例えば、テレビを買い替えたいからといって、故意に壊して保険金を請求するのは「保険金詐欺」になります。
ソファやラグにジュースをこぼして汚れた場合は、機能的には問題ないので補償対象外となることが多いようです。 保険会社によって対象となるかならないかには差がありますが、建物や家財が壊れてからといって必ず補償が受けられるわけではない点は覚えておきましょう。
外出中の破損や汚損は対象外
不足かつ突発的な事故による建物・家財の損失が補償される破損・汚損ですが、外出中の事故は対象外となります。例えば、
・自転車に乗っているときにカメラを落として壊れた
・車に置いていたパソコンが車内の暑さで壊れた
などは支払い対象になりません。上記のような外出中の事故に備えるには、
・携行品損害特約
・個人賠償責任保険
の特約の付帯が必要です。
「携行品損害特約」は、外出中に起こった事故で家財が壊れたときに補償が受けられます。先ほど破損・汚損では対象外になるとお伝えした事例も補償対象となります。「個人賠償責任保険」は、過失(不注意)で起こった事故を補償する保険です。 外出中に次のような事故が起こったときに、補償を受けられます。
・自転車で人にぶつかってケガをさせてしまった
・子どもがお店の商品を壊してしまった
・子どもが友だちと遊んでいるときにケガをさせた
・ペットが人を噛んでケガをさせた
家財が補償される保険ではありませんが、小さなお子さんがいる方やペットを飼っている方は、付帯するメリットが大きい保険です。
破損・汚損が適用されるケース、されないケース
破損・汚損は事故が起きた理由によって、適用されるとき、されないときがあります。具体的にどんなときに適用されて、どんなときに適用されないのかをケース別に見ていきましょう。
適用されるケース
破損・汚損が適用されるのは、「不足かつ突発的な事故」によって建物や家財が壊れたときです。
建物
・家具を運んでいるときにぶつけて壁や床に穴があいた
・車を駐車しているときに壁にぶつかって壁が破損した
・蛇口を閉め忘れて部屋が水浸しになった
・子どもが窓にぶつかってガラスが割れた
家財
・子どもがテレビを倒して画面が割れた
・うっかり飲み物をこぼしてパソコンが壊れた
・幼い子どもがカーテンを引きちぎってしまった
対象となるかならないかを決めるポイントは、「予測できない事故だったか」という点です。小さなお子さんが家具や家電を壊してしまうのは「予測できないアクシデント」なので、補償を受けられます。 しかし家具や家電を壊したのがペットの場合は、補償対象外となる保険会社がほとんど。ペットを飼っている以上、柱をかじったり床を傷つけたりするのは「想定内のできごと」だからです。 ただし「ペットが雷の音にびっくりして、家電を倒して壊れてしまった」など、想定外のアクシデントの場合は補償が受けられることも。補償となるかならないかは自分で判断せず、まずは保険会社に相談してみましょう。
適用されないケース
破損・汚損が適用されないケースを挙げていきます。
建物
・イライラして物を投げたら壁に当たって穴があいた
・メーカー非推奨の方法で掃除をして設備が壊れた
・ペットが柱を噛んで壁紙が剥がれた
家財
・ペットが椅子の脚を噛んで使えなくなった
・新しいパソコンに買い替えたくてわざと壊した
・子どもがテーブルに落書きをした
先ほどもお伝えしたように、建物や家財を故意に傷つけたのなら補償は受けられません。イライラして突発的に物を壊した場合も「故意である」と判断されます。 しかし対象となるかならないかの最終的な判断をするのはやはり保険会社なので、建物や家財の破損で悩んだときには保険会社に相談してみてください。
偶然かつ突発的な事故なら、破損・汚損で直せることも!対象や内容を要確認!
火災保険に破損・汚損を付帯すれば、不足かつ突発的な事故が起こったときに建物や家財を直したり買い替えたりすることができます。お子さんが建物を傷つけたときや、家電を壊したときにも補償が受けられるので、小さなお子さんがいる家庭は付帯するメリットが大きい保険です
ただし、建物や家財が壊れたからといって、必ずしも破損・汚損が適用できるわけではありません。補償対象も保険会社によって少しずつ異なるので、悩んだときには保険会社に相談しましょう。
保険会社に相談するときに大切なのは、必ず「真実を伝えること」です。補償を受けたいからといって虚偽の申告をすると、「保険金詐欺」になります。 破損・汚損がどんな保険なのかをしっかりと理解して、付帯の必要性を考えてみてくださいね。