
2022.05.23
窓が少ない家のメリットって何?最近窓なしの家が人気な5つの理由
建てる
ここ最近、新築の注文住宅や建売住宅で、窓が極端に少なかったり、場合によっては道路から確認できる窓が一つもなかったり…というデザインの家が増えてきていると感じませんか?
今までの一般的な住宅には、1階の客間・リビング・キッチンや2階の各個室に必ずといっていいほど付いていた「窓」。ここ最近増えている窓の少ない家は、道路から確認できる窓が1つか2つで、大きさも小さくなっているものが多く見られます。いったい、このような窓の少ない家(あるいは窓なしの家)はなぜ人気を呼んでいるのでしょうか。これからそのメリットを見ていきましょう。
1. 断熱性が上がる

家の中で、窓などの開口部は、最も熱の出入りが激しい場所。窓が多ければ多いほど、夏場に外の暖かい空気がお部屋に入ってきたり、冬場に暖房で温めたお部屋の空気が外に漏れてしまったりという…具合に、断熱性の面では不利になってしまいます。

実際に、平均的な窓の量の家では、夏に外の熱気が家の中に入ってくる割合で約7割、冬にお部屋の暖気が外に逃げる割合で約6割が、窓などの開口部から出入りしている、というデータがあるほど、窓は熱の出入りの多い場所。この窓の数が少ないということは、必然的に家の断熱性能が上がり、夏や冬もお部屋の中で過ごしやすくなるのです。
窓の断熱性をさらに高める方法として、窓サッシを熱伝導率がアルミの1000分の1と言われる「樹脂サッシ」にしたり、2枚以上のガラスの間に空気やガスの層を挟んで断熱性能を高めた複層ガラスにしたり、という方法もあります。
2. プライバシーが守られ防犯面でも比較的安心

家の外側に窓が多いと、室内から外の景色を眺めることができ、開放的な空間を作ることができます。しかし、それは裏を返せば、外からも家の中が見えやすくなってしまうということ。
特に人通りが多い時間帯は外からの視線が気になって、せっかく大きな窓があるのにプライバシーを守るためにほとんどカーテンを閉めている…ということにもなりかねません。窓の少ない家は、窓が少ないぶん外から家の中が見えづらくなっているため、プライバシーを心配する必要がありません。
また、窃盗などの住居への不法侵入のおよそ6割が窓からというデータがあるため(警察庁住まいる防犯110番「侵入犯罪の情勢」(平成29年)より)、窓が少ないということは、それだけ防犯面でも安心できるということになります。
3. 建築費用を抑えられる

一般的に、家づくりにおいては、家の壁を作るよりも窓を付ける方が建築費用が高くなるといわれています。また、特に大きな窓を作るとその他の部分をしっかりとした作りにしなければならない分、建築費用がさらに高くなってしまいます。
窓の数が少なく、小さな窓であれば、その分建築費用を抑えることができるでしょう。さらに、前述のように窓サッシをオール樹脂サッシにしたり、複層ガラスにして断熱性の高いもの(=高価なグレードの窓)にしても、数が少なく小さい窓であればコストを最小限に抑えることができます。
4. 家具が配置しやすい

窓が多いということは、その分お部屋の何もない壁の面積が狭くなるということ。窓が多いと、本棚やたんす、テレビボードのような壁付けの家具を配置するスペースが限られてしまうことになり、家具のレイアウトに意外と困ってしまう…ということもあるようです。
また、意外と見落としがちなのが、家具の「日焼け」問題。家具やインテリアが、窓から差し込む直射日光(特に紫外線)に長時間さらされるようなレイアウトにしていると、日光に当たっている部分だけが褪色したり、ひび割れなどの劣化を起こしてしまったりすることがあるのです。
窓が少なく、壁の面積が多いお部屋は家具の配置の自由度が高い分、レイアウトで困ることも少なく、生活スタイルの変化に応じた模様替えもしやすくなることでしょう。
5. モダンでスタイリッシュな外観になる

窓が少ない家はシンプルな外観にすることが可能で、近年流行しているシンプルモダンなデザインのスタイリッシュな家にしやすいという特長があります。また、窓の数が少ない、あるいはほとんどないという外観の家は、最近増えてきているとはいえまだまだ少数派。通常の窓の多い家の中に建っていると、周囲とちょっと違ったインパクトの強い家になることでしょう。
窓が少ない家の注意点

採光をしっかりと確保する必要がある
窓が少ない家は、通常の家よりも外から光を取り込む部分が少なくなってしまうため、採光を計画的に確保しないと家の中が日中でも暗くなってしまう可能性があります。家の中にバランスよく自然光を取り入れるため、例えば吹き抜けや中庭のような形状のバルコニー、天窓などを設けて家に効率よく自然光が行き渡るようにする、といった工夫が必要でしょう。
風通しを工夫する必要がある
外に面した窓の少ない家は、窓がない分風が通り抜けにくくなります。最近の家は24時間換気システムの設置が義務となり、必ず付いているため、問題と感じることは少ないかもしれません。しかし、自然の風の流れを感じたいという場合は限られた窓から風がうまく通り抜けるように、設計の段階からしっかりと計画する必要があるでしょう。
現代の生活においてはメリットが多い「窓が少ない家」

この記事で取り上げたように、窓が少ない家のメリットである断熱性の高さは、毎年のように酷暑となる近年の夏においては大きなメリットとなります。また、ほとんどの人がスマートフォンを持ち、簡単に撮影ができるこのご時世、プライバシーの心配をする必要がないという安心感は大きいと感じる方も多いのではないでしょうか。窓の少ない家や窓なしの家は、現在人の生活のニーズに合った、メリットの多い家ということができるのです。