2021.11.09
マンションリノベーションのデメリットって何?賢い中古物件の選び方
リノベする
近年、マイホームの新しい形として人気を呼んでいる中古マンションリノベーション。中古マンションの取得費用とリノベーション費用を合わせても新築マンションを購入するよりもリーズナブルだったり、オリジナリティあふれる間取りが作れたりすることから、若い世代を中心に急速に市民権を得ています。
現に首都圏では、2016年から2019年までの3年間、新築マンションの新規供給数を中古マンションの成約数が上回るという逆転現象が起こっています。しかし、中古マンションリノベーションに対して、「結局は建物が古い物件だから何となく心配」、あるいは「どこまで手を加えられるかわからない」と言ったイメージを抱えている人も多いのではないでしょうか。
これから、中古マンションリノベーションの代表的なデメリット5つを見ながら、賢い中古物件選びの方法を見ていきましょう。
1. マンションの構造によっては間取り変更できない物件がある
中古マンションのリノベーションと聞くと、室内の壁や扉を取り払い、一旦柱と梁だけの「スケルトン」の状態にして、間取りを自分たち好みにカスタマイズできる、というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、このようなスケルトンリノベーションができるのは、マンションの構造体が柱と梁になっている「ラーメン構造」のマンションのみ。コンクリートの壁で構造体を支えている「壁式構造」のマンションは、撤去できる壁がほとんどなく、大規模な間取り変更が難しいと言われています。
Point 間取り変更がしたい場合は「ラーメン構造」の物件を選ぼう
リノベーションに不向きな壁式構造は、一般的に低層マンションや古い団地の集合住宅などで採用されています。間取りの変更を伴うスケルトンリノベーションを考えている場合は、大前提として、中古物件を探す際にマンションの構造をよく確認しておきましょう。
2. 解体してから瑕疵が発覚することがある
中古物件を購入し、リノベーションの工事が始まったはいいものの、古い内装を解体した後に壁裏の配管から水漏れが見つかったり、柱にヒビが入っていたりするなどの瑕疵が見つかることがあります。その物件に今後も安全に住み続けるためには、このような瑕疵を修繕する想定外の修繕費用がかかってしまいます。
このような瑕疵が見つかる例は稀だと言われていますが、築年数の古い建物であるがゆえに瑕疵が見つかるリスクは存在することを覚えておきましょう。
Point あらかじめ修繕費用のことも考えて予算を組んでおこう
中古物件に瑕疵が存在するかどうかは、物件を内見するだけではどうしてもわかりません。万が一、解体後に瑕疵が見つかった場合に備え、予算に余裕を持って工事に臨む方が良いでしょう。
3. 耐震性が心配
2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2018年の北海道胆振東部地震と、震度7を記録する大地震が3度も起こった2010年代。地震活動が活発な日本に住む限り、地震への備えは欠かせません。中古の物件を購入するときに、そのマンションの耐震性を心配する人も多いことでしょう。
ここで注目できるのが、購入を検討している中古マンションが、現行の「新耐震基準」(震度6~7の大規模地震でも倒壊しない強度)を満たしているかどうかです。この新耐震基準を満たしているマンションであれば、地震による建物の倒壊という被害に対しては、それ以前に建てられたマンションよりも安心できます。
Point 物件の建築確認済証が交付された日付をチェックしよう
この新耐震基準が施行されたのは1981年6月1日。2021年現在、築38年くらいまでの中古マンションであれば、新耐震基準を満たしている可能性が高いと言えます。しかし、ここで見逃してはいけないのが、「建築確認済証が交付された日が1981年6月1日以降」かどうか、と言う点です。
実は、1981年の6月以降に完成した物件の中にも、新耐震基準が施行される6月1日以前(旧耐震基準)に建築確認済証が交付されたものも存在している可能性があるのです。
完成した時代があまりにも違う場合は何もしなくても安心ですが、ちょっと気になる完成時期の場合は不動産業者に確認を取りましょう。
4. 共有部分や設備機器が古い
自分の部屋の中は新築の家のようにリノベーションできても、マンションの共同玄関や階段、バルコニーなどの共用部分、エレベーターやオートロックなどの設備は個人だけの意思で変えることはできません。
Point 内見時に、共用部分の管理状態も必ず見ておこう
中古マンションの共有部分と設備は、自分がこれから購入する物件(部屋)と同じくらいか、あるいはそれ以上に注意して見ておくようにしましょう。なぜならば、共用部分を見ることで、マンションにどのような意識を持った人が暮らしているのかがわかる可能性があるからです。
仮に、共用部分にゴミが散乱したままになっていたり、自転車置き場の自転車が乱雑に止められていたりすると、そのままそのマンションで生活を始めるのが不安になってしまうかも知れません。
また、表面的な部分だけではなく、マンションの構造に関わる部分もチェックする必要があります。一般的なマンションは12年おきに「大規模修繕」を行い、外壁塗装や屋上防水、共用部分や設備などを刷新するようになっています。築年数を見ながら、現在の建物や共用部分が快適に住めるように管理されているかどうかしっかりと見ておく必要があります。
住んだ後に自宅以外の部分で後悔することがないよう、共用部分にも目を光らせておきましょう。
5. 工事期間があるためすぐに住むことができない
最後に、当然のことではありますが、中古マンションを購入してリノベーションを行う場合、実際に住み始めるまでは工事の期間を考慮しなければなりません。工事の内容によってその期間は異なりますが、工期は一般的に3ヶ月から6ヶ月程度と言われています。
仮に現在賃貸住宅に住んでいる場合、その期間は今の家に家賃を払って住み続けなければならない、ということを覚えておきましょう。中古マンションをリノベーションするのは注文住宅を建てるのと同じと捉えておけば、この件でつまずくことはないでしょう。
デメリットをあらかじめ把握して物件を見ることは、中古マンションリノベーション成功の鍵
ここまで、中古マンションをリノベーションする際の一般的なデメリットを見てきました。あらかじめこのようなデメリットを把握しているかどうかは、リノベーションの成功・失敗を大きく左右します。
リノベーションを行う施工業者にも同じことが言えます。物件探しの段階から、メリットだけでなくその物件特有のデメリットもしっかりと教えてくれる業者を選びましょう。