
2019.05.20
失業して家賃が払えないときに覚えておきたい「住宅確保給付金」
暮らしのQ&A
失われた20年と言われる長期的な不景気の続いた時代、平成。
政府によると景気は緩やかな回復傾向にあり、人出不足が深刻化していると言われていますが、元号が令和に変わった今現在も突然のリストラ、あるいは派遣切りなどによって、突然職を失ってしまう人は後を絶ちません。

職を失ったときにまず困ることが、住んでいる住宅の家賃の支払いです。
節約できる光熱費、水道代とは異なり、家賃はどのような状況でも安くすることができません。
失業して就職活動を開始したものの、収入源を断たれた状態での就職活動が長期化すると、家賃を払うことが次第に難しくなってしまうでしょう。
家賃の支払いが難しくなったときに絶対にやってはいけないことが、金利の高いカードローンや消費者金融に手を出すことです。
就職が決まってから返済するにしても、金利が高いために、その後の生活に深い爪痕を残すことは間違いありません。
また、長期間就職できないと、家賃も払えないばかりか、借金を返済できないという最悪の事態に陥る可能性もあります。
また、家賃を滞納すると、アパートを借りる際に連帯保証人に迷惑がかかってしまいます。
連帯保証人には親族など近しい人がなっている場合も多いため、家賃の滞納は身近な人間関係にまで影を落としてしまうのです。
家賃の支払いに困ったとき、忘れてはいけないセーフネットとして、「住宅確保給付金」という制度があります。
平成27年4月から始まったこの制度は、支給される条件を満たしていれば、自治体から家賃を給付してもらえます。
支給される条件
住宅確保給付金は、その名の通り「給付」されるものです。
つまり、就職して収入が安定しても返済する費用はありません。そのため、支給の条件は甘くはなく、以下の条件全てに当てはまっている必要があります。
(1) 離職又は自営業の廃業により経済的に困窮し、住居を喪失している又は住居喪失のおそれがあること
(2) 申請日において、65歳未満であって、かつ、離職等の日から2年以内であること
(3) 離職前に主たる生計維持者であったこと(離職前は主たる生計維持者ではなかったが、その後離婚等により、申請時には主たる生計維持者となっている場合も含む。)
(4) 申請日の属する月の、申請者及び申請者と同一の世帯に属する者の収入の合計額が、下記の基準額に家賃額(家賃額が住宅扶助基準額を上回る場合は、住宅扶助基準額)を合算した額以下であること 【基準額】単身世帯:8.4万円、2人世帯:13万円、3人世帯:17.2万円、4人世帯:21.4万円、5人世帯:25.5万円、6人世帯:29.7万円
(5) 申請日において、申請者及び申請者と生計を一にしている同居の親族の預貯金の合計額が(4) の基準額に6を乗じた金額(ただし、100万円を上限とする。)以下であること 単身世帯:50.4万円、2人世帯:78万円、3人以上世帯:100万円
(6) ハローワークに求職の申込をし、誠実かつ熱心に常用就職(期間の定めのない労働契約又は期間の定めが6月以上の労働契約による就職)を目指した求職活動を行うこと
(7) 国の雇用施策による給付(職業訓練受講給付金)及び地方自治体等が実施する類似の給付等を、申請者及び申請者と同一の世帯に属する者が受けていないこと
(8) 申請者及び申請者と同一の世帯に属する者のいずれもが暴力団員でないこと
引用:広島市 – 住宅確保給付金
住宅確保給付金を受給する人は、属する世帯の生計を主として維持していた人である必要があり、熱心に常用就職を目指した就職活動を行わなければなりません。
また、世帯全体の預貯金、現金の合計額が100万円以下である必要もあるなど、本当に生活に困窮している人が対象となっています。申請して審査が通るのかよく確認しましょう。
支給される期間
住宅確保給付金の支給期間は、原則3ヶ月と定められています。
しかし、35歳以上の転職がとても難しいと言われる日本において、安定した職につく機関として、3ヶ月は十分とは言えないのではないでしょうか。
そのような方のために、3ヶ月を経過しても家賃を滞納なく支払うことが困難であると認められる場合は、最長9ヶ月まで延長できるようです。
支給額は世帯人数や地域によって異なる

東京・大阪のような大都市圏と地方では、家賃の相場が異なるため、住宅確保給付金は地域によって異なります。また世帯人数によっても変わります。
広島県広島市の場合は、支給の限度額は、単身世帯で38,000円、2人世帯で46,000円、3人~5人世帯で49,000円、6人世帯で53,000円、7人以上世帯で59,000円となっています。
広島市の賃貸住宅の相場を考えると、この額で家賃全額を支払うことは少し厳しいと言えます。
しかし、仮に単身者で4万円の部屋に住んでいた場合は、家賃を2,000円で抑えることができ、生活は格段に楽になるでしょう。
受給中は就職活動や職業相談などを行う必要がある
この制度は、生活に困った人が再就職することを助けるための制度です。
そのため、住宅確保給付金を受給している間は、就職活動を行い、求人へ応募したり、面接を受けたりする必要があります。
また、少なくとも月に4回以上、自立支援相談機関の職員による面接対策指導を受ける必要があります。
このような活動を受けることは面倒だと考える人もいるかもしれません。しかし、これは再就職を目指している方にとってはとてもありがたい支援策だと言えるのではないでしょうか。
家賃を払えなくなったからといって、滞納を繰り返して家を追い出されたり、金利の高いところから借金をして借金地獄に陥ったりするのは、なんとしても避けなければなりません。
もし万が一の状況になったときは、焦らずに、住宅確保給付金の制度を活用して、今の家に住み続けながら再就職先を探しましょう。